YASUMA Model No.600
戻る三重県にお住まいのK.K.さんからYASUMAのギターを左利きプレイヤー対応への変更ご依頼をいただきました
ナットの弦溝、ブリッジサドル溝を左利き対応にしました。(ピックガードはK.K.さんのご指示により、オリジナルのままとします)
その他、弦周りのTUSQ化、ペグ交換を実施しました
リペア後のギターの音色は枯れた部材から発せられる、素晴らしいものでした。
リペア前の状況確認
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- 1. サドルの傾きは右利き用のままですが、張られている弦が左利き対応になっています。激しいフレット音痴状態です。
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- 2. オリジナルナットです。こちらは左利き対応です。TUSQ化および整形し直すことにより、音響特性の向上を行います。
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- 1. ナットを外しました。接着剤の跡が多く残っています。オリジナルナットはフィンガーボードに密着していなかったようです。
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- 2. 古い接着剤をよく研いだ彫刻刀で削り取っていきます。
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- 3. クリーニング終了後のナット溝です。
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- 4.ナットスラブをネックの幅に合わせてカットします。
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- 5. 厚みを合わせたナットを溝にはめ込みました。
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- 6. ナットと溝の間に隙間がないか確認します。隙間がある場合はナットを少しずつ削ってナット溝にピッタリ合うまで調整します。
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- 7. ナット底面調整が終わりましたら、ナット上面部を加工します。
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- 8. カット完了です。
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- 9.幅を合わせながら、ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 10.左利き用ですので、ヘッド側から見て左手が6弦になるように弦溝位置を決めています。
ブリッジ・サドル溝埋木~再加工
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- 1.エボニー材を切り出し、サドル溝にピッタリはまるように加工しましょう。
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- 2.ベルトサンダーで徐々に薄くなるように削っていきます。
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- 3.エボニー材がサドル溝にピッタリフィットしました。
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- 4.カット線をマークしていきます。
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- 5.このケガキ線の少し外側をカットしましょう。
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- 6. 接着する前に埋木の大きさの最終チェックをおこないます。
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- 7.タイトボンドを埋木の裏に塗って接着です。
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- 8.少し大きめにカットしたのはここでブリッジ面にピッタリ合わせるためです。彫刻刀で飛び出している部分を削っていきます。
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- 9.埋木完了です。このまま一昼夜ボンドの乾燥を待ちましょう。
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- 10.イントネーターの登場です(笑)!ピッチ調整を行い、サドル山位置を確認する治具として大変重宝しています。
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- 11.サウンドホールにチューナを装着し、全ての弦の全フレットのピッチを確認します。合わない場合はサドル山位置を調整します。
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- 12.サドル山位置を確定できました。
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- 13.サドルの厚み幅に収まることを確認します。この枠が新しいサドル溝になります。
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- 14.マスキングテープは前もって二重に張っていました。下のテープにはサドル溝位置を写します。
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- 15.サドル溝加工治具をブリッジ上に取り付けます。
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- 16.ルータビットの先端がサドル溝をなぞるようにガイド類を調整します。
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- 17.ガイド類の固定が終わりました
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- 18.肩の力を抜いて、イメージ通りに掘り込んでいきます。(2パスで5mmの切削を行います)
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- 19.切削加工直後のブリッジです。加工治具越しの写真です。
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- 20.治具を外しました。
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- 21.マスキングテープを外すと、新しいサドル溝が現れました。
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- 22.埋木した部分もきれいに切削されています。
ブリッジピン穴加工~サドル作製~弦高調整
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- 1.ブリッジピン穴の弦導出口をサドル側へ寄せるように糸鋸の刃でカットをします。
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- 2.次にミニルータでカットされた溝を広げていきます。ブリッジ奥からの弦を導出する角度もつけていきます。
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- 3.ブリッジピン穴加工完了です。
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- 4.TUSQサドルスラブに切取線を入れ、カットします。
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- 5.サドル底面の平面を作ります。これはとても重要なポイントです。
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- 6.幅、厚さ、端の丸みの加工が完了したサドルスラブです。
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- 7.イントネーターでピッチ確認したときの弦高を参考にサドル高を算出し、ケガキ線を入れていきます。
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- 8.サドルをカットしました。上面部はマークできるように軽く磨いておきます。
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- 9.イントネーターで調整したサドル山位置を書き写し、線で結んでいきます。
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- 10.サドル山の線を削りだしていきます。
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- 11.オフセット加工されたサドル完成です。
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- 12.再び弦を張り、弦高を確認します。
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- 13.ナット弦高もこのまま調整します。
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- 14.ストリングリフターで弦を持ち上げておいて、弦溝の深さを調整します。
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- 15.弦高調整後のナットです。
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- 16.弦高調整後のサドルです。
ペグ交換
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- 1.弦高調整まで使っていた古い弦を外し、古いペグを取り外していきます。
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- 2.新しいペグの取り付け穴(裏側)がオリジナルのものと異なるので、穴埋めします。
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- 3.穴埋め前がこちら。
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- 4.穴埋め後がこちらです。
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- 5.新しいペグの装着完了です。
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- 6.新しい弦を張りました。ピカピカ状態です!
フレットポジションマーク
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- 1.フレット横バインディングにポジションマークが無いと弾きづらい時がありますので、マークを入れましょう。
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- 2.鋭角のルータービットでマーク位置に浅く凹みを入れます。
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- 3.次に丸形のルータービットでポジションマークの穴をを掘り込みます。
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- 4.穴の中にエナメル塗料を流し込みます。
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- 5.ポジションマークの完了です。
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- 6.他のポジションにも同様の加工を施しました。