Gibson J-45
戻る大分県にお住まいのK.K.さんからビンテージGibsonのリペアご依頼をいただきました。1964年製のJ-45です
40年以上の歳月を経てきているとは思えない状態の良さです
消耗系のパーツの交換を中心にトータルリペアを実施いたしました
リペア後の試奏ではGibsonらしいダイナミックで、かつクリアな音色を確認することができました。
K.K.さんから力強いメッセージが届きました。現役復活してとても嬉しい思いです。ありがとうございました。
バカ鳴りでございます!
しかも、ストレスなく一発チューニングでき低音の深さと、サスティーンの伸び、加えて粒がそろったような感じに仕上がっていました
何だか、自分のギターじゃないような感じです
「こんなに音良かったんだ!」と改めて45に惚れ直しました。これからも永いつきあいが出来そうです
本当に有り難うございました
25日の別府でのライヴ、3月21日の長崎と楽しみでなりません。また、その都度ご報告させて頂きます。
リペア前の状況確認
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- 1. かなりフレットがすり減っています。
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- 2. そしてエッジすり減ったナットです。かなり弾き込まれています。
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- 3. アジャスタブル・サドルはスロットタイプに交換し、音響特性の向上を狙いました。
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- 4. オリジナルペグは安定したチューニングを維持できない状態ですので交換することにしました。
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- 1. はんだごてでフレットを暖めながら、
- 1. はんだごてでフレットを暖めながら、
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- 2. 山の部分がすり減ったフレットですので、
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- 3. 根気よく、ゆっくりと抜いていきます。
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- 4.全フレットを抜き終えました。
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- 5. フィンガーボードを軽くサンディングします
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- 6. フィンガーボードが弦方向に直線であることを確かめておきます。これを忘れると、フレットすりあわせ時のフレット削り量が大きくなります。
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- 7. フレット溝に入ったサンディングの粉を取り除きます。
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- 8. フレット打ち込み準備完了です!
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- 9.打ち込みを始める前にボディ内フィンガーボード下に
- 9.打ち込みを始める前にボディ内フィンガーボード下に
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- 10.フレットの準備です。フレットワイヤーにアールをつけていきます。
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- 11.フィンガーボードの幅よりも少し大きめにフレットをカットします。
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- 12.両端を先に打ち込みます。 まず、片方から・・・。
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- 13.そしてもう片方を打ち込みます。
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- 14.両端が打ち込まれた状態で最後に真ん中を打ち込みます。
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- 15.バインディングのないフィンガーボードのフレット交換は、打ち込む前のフレット端処理が不要ですね。
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- 16. 全フレットの打ち込みを終え、フレット端をカットしていきます。
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- 17.切り取り端の処理専用のファイルでエッジ処理を行います。
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- 18.反対側も同様にしてエッジ処理を行います。
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- 19.フレットすりあわせを始めましょう。まずは、マスキングテープとアクリル板でフィンガーボードとボディを保護します。
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- 20.すりあわせ準備完了です。
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- 21.すりあわせ部分を特定するために直定規を当てて、凹んでいる部分に赤ペンでマークを入れていきます。
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- 22.マーク部分がすれるまでフラットファイルでフレットを削っていきます。
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- 23.部分的なすりあわせができたことを確認した後、全体的な確認を行います。逆光を利用すると効率的です。
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- 24.フレット山の断面が台形になっていますので、逆U字になるよう、専用のファイルで削ります。
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- 25.サンドペーパー(#400)で粗研磨します。
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- 26.研磨たわし(#600)で中研磨を行い・・・。
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- 27.さらに研磨たわし(#800)で細研磨を行います。
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- 28.最後はコンパウンドで最終研磨です。
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- 29.フレットすりあわせは完了しました。アクリル板、マスキングテープをはずします。
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- 30.ピカピカのフレットはギターのよみがえりのサインみたいですね。
ナット作製
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- 1.後の工程でアジャスタブルサドル加工を行いますので、ナット作製を先に済ませて、弦を張れるようにしておきます。
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- 2.まず最初にナット溝をクリーニングしましょう。よく切れる彫刻刀で古い接着剤などを削り落としていきます。
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- 3.ナット溝のクリーニング完了です。(写真からはよく見えませんが、かなりの量の古い接着剤を削り落としました)
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- 4.TUSQナット・スラブの底面処理をして、サドル溝にはめます。ここで、隙間のないことを確認しておきます。ここでも、逆光利用が有効です。
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- 5.反対側からも同様に確認しましょう。
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- 6.次に上面の切り出しを行います。ケガキ線を入れた後、カットします。
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- 7.ヘッド側に放物曲面を描きました。と同時に、サイドの幅も合わせ込みます。
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- 8.弦溝位置を専用の定規でマーキングします。
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- 9.弦溝専用のヤスリで浅めに弦溝を掘っていきます。後で行う弦高調整しろを残す程度の深さにとどめておきます。
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- 10.弦高調整前のナットの完成です。
アジャスタブル・サドル加工~サドル作製
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- 1.ローズウッド材を切り出し、カンナでおおまかな大きさを削り出します。
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- 2.ベルトサンダーで徐々に最終形の輪郭に近づけていきます。
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- 3.両端の丸みもサンダーでつけていきます。
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- 4.徐々に丸みをつけていきます。
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- 5.高さを残して、ピッタリはまる埋木が出来ました。
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- 6.高さを合わせてカットし、埋木の完成です。
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- 7.サドル基準位置を決めるために治具を使って、ナットと12フレットの間の距離を測り・・・。
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- 8.その治具をサドル側に移して、マスキングテープに印を付けます。
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- 9.この治具は優れもので、先端のピン位置も調整できます。
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- 10.基準位置にイントネーターをセットしていきます。おおまかなサドル高も付属のパイプ状のパーツを取り付けて合わせていきます。
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- 11.全ての弦にパイプを取り付け、イントネーターの装着が完了しました。
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- 12.サウンドホールにチューナーをセットして、ピッチ調整の準備OKです。
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- 13.各フレットでピッチに狂いのないように、サドル位置と高さを調整していきます。(根気の必要な工程ですが、これでギターの音程が決定します)
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- 14.サドルのピーク位置をマークしていきます。
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- 15.サドルピーク位置をサドルの厚みで包含するようにサドル溝位置を決めます。
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- 16.サドル溝を掘る準備を行いましょう。ガイドをセットしたところです。
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- 17.トリマの刃がサドル溝をたどるように、ガイドを微調整します。
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- 18.切削加工中です。全神経をトリマの先端に集中します。
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- 19.切削加工が終了しました。。
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- 20.マスキングテープを取って、中の切りかすを取り除くと、バッチリ溝が掘れていました。
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- 21.この段階で、ブリッジピン穴加工も同時に行ってしまいましょう。まず、糸鋸の刃で弦溝をサドル側に引いていきます。
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- 22.その溝をミニルータで削っていきます。弦が最もサドルにテンションを与えるようなスロープをつけていきます。
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- 23.ピン穴加工も完了しました。次はサドル作製です。
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- 24.ピッタリはまるようになりました。先ほどのイントネーターの高さに合わせて上面をカットしましょう。
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- 25.上面は平らのままです。
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- 26.サドルピーク位置をサドル上面部に書き写していきます。
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- 27.ピーク位置を維持しながら、サドルの山を削っていきます。サウンドホール側は斜面に、ブリッジピン側は放物曲面にするのがコツです。
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- 28.ピーク位置を削りだしたサドルです。
ペグ交換
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- 1.KLUSONの3連ペグです。なぜかこの時期(2007年2月)品薄で、ようやく手に入れることができました。
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- 2.オリジナルペグを外しました。
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- 3.ここで新しいペグ・ブッシュが古いものより径が大きいことがわかりました。
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- 4.リーマーでブッシュ穴を広げます。(リーマーには目標の太さの位置をマークしたマスキングテープです)
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- 5.ブッシュがピッタリ入る穴になりました。
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- 6.軽くコンコンとたたいて打ち込みました。
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- 7.全てのブッシュの取り付けを終えました。
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- 8.ヘッド裏側から3連ペグをネジ止めしました。
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- 9.とても堅固なペグに変身しました。
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- 10.早速弦を張りました。安定したチューニングを復活できました。
弦高調整
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- 1.ストリングリフターで弦を持ち上げ、ナット弦溝の深さ調整ができるように弦を待避します。
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- 2.少しずつナットの弦高を下げていきます。
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- 3.全ての弦の弦高調整が終わりました。
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- 4.サドルの微調整も完了です。