YAMAHA L-10
戻る千葉県にお住まいのK.N.さんからリペアのご依頼をいただきました。K.N.さんは新しいギターの入手を検討されましたが、四半世紀前に購入された、このギターを思い出されたそうです
長年放置されていましたが、リペア後は素晴らしい響きを奏でるギターに蘇りました
早速リペア後のギターを受け取られてK.N.さんから次の暖かいメッセージをいただきました
K.N.さんに弾かれるのを待ち続けていたギターが蘇って、私も感無量です
この度はありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願い致します。
昨日、リペアをしていただいたL-10を拝受いたしました。音を出すまでの、ワクワクする時間をいつまでも味わっていたいと思いました。深夜のこと故、大きな音は出せませんでしたが、響き、伸び、一番気になっていた各弦のバランス、どれもが素晴らしく、感激いたしました
二十数年間も、このギターの能力を眠らせておいたことを恥ずかしく思うと同時に、樋口さんの名伯楽ぶりに感謝しております
どうぞこれからも、「眠れるギター」のためにご活躍下さい
どうも有り難うございました。
フレット交換
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- 1. フレットをはんだごてで暖めながら、フレット抜き工具で抜いていきます。
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- 2. フィンガーボードとバインディングを痛めないようにゆっくり作業を進めていきます。
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- 3.フレットを抜き終わるまで全神経をフレットに集中させます。
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- 4.直定規を当てて、フィンガーボードの平面を確認します。
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- 5.軽くサンディングします。このとき直定規で確認した凸部を集中的に狙います。
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- 6.サンディングを終えたフィンガーボードの表面です。フレット溝は削り粉で埋まっています。
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- 7.フレット溝にたまった削りカスやゴミなどをかき出しながら集塵します。フレット溝のエッジを傷つけないように慎重に行います。
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- 8.溝に残った削り粉やゴミなどを吸い取っていきます。
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- 9.フィンガーボードの準備完了です。
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- 10.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 11.ボディ内部はジャッキで保護しておきます。
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- 12.フィンガーボードの幅よりも少し大きめにフレットをカットします。
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- 13.フレットを切った端の状態です。バインディング処理を行いましょう。
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- 14.タングカッターでバインディング部の上にかかるタングをカットします。
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- 15.タング部をカットしました。両端に同じ処理を行います。
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- 16.まず一方の端を軽く打ち込みます。
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- 17.次にもう片一方を打ち込みます。
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- 18.そして中央部を打ち込みます。
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- 19. この要領で打ち込んでいきましょう。
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- 20. 10フレットまで打ち込み終わりました。
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- 21. 全フレットを打ち終わりました。
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- 22.バインディングからはみ出した部分をカットしていきます。切れ端が飛び散らないように左手指で押さえておきます。
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- 23. ボディをアクリル板で保護した後、フレット傾斜加工専用のファイル(やすり)で削っていきます。
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- 24. 反対側(1弦側)も同じように傾斜をつけていきます。
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- 25. ここで一旦フレットの削り粉を取り去ります。
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- 26. フレット端の処理を行います。このヤスリはフィンガーボードに傷が付かないようになっている特殊なものです。
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- 27.引き続いてフレットのすりあわせを行いましょう。
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- 28.フィンガーボードをマスキングテープで保護した後、直定規でフレット山の直線性を確認します。凹んでいる部分にマーキングします。
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- 29.フラットファイルで凹んだ部分が削れるまで(平面になるまで)、削っていきます。
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- 30.フレット山を丸くするヤスリで平らになったフレット上部を削ります。(削りすぎないように注意します)
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- 31.1.#400~#600~#800と順に細かい紙ヤスリと金属タワシで磨いていきます。
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- 32.最後はコンパウンドで仕上げます。
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- 33.マスキングテープ、プロテクタを外しましょう。
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- 34.フレット交換完了です。ピカピカのフレットになりました!
トップ板ブレイシング剥がれリペア
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- 1.トップ板のブレイシングが完全に剥がれています。(6弦側下部分です)
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- 2.ブレイシングとトップ板の間にタイトボンドを塗り込み、ジャッキでボディ内側からブレイシングを押さえながら固着乾燥させます。
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- 3.翌日、ジャッキを外しました。トップ板をコンコンと軽くたたくとブレイシングが固着されていることを確認できました。
ナット溝クリーニング~ナット作成
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- 1.ナットを外しました。比較的きれいなナット溝です。
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- 2.よく切れる彫刻刀で古い接着剤とゴミを削り落とします。
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- 3.クリーニングが終了しました。ナット作製作業に移りましょう。
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- 4.TUSQナットスラブをナット溝の幅に合わせてカットします。
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- 5.切り出しを終えました。次にフィンガーボードとネックの接触面に密着するようにナット面を削っていきます。
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- 6.この部分の整形には十分時間をかけます。ナットはサドルと共にギターの鳴りに大きく影響を与えます。
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- 7.逆光を利用しながら密着性を確認すると効率的、かつ効果的なナット作製作業ができます。
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- 8.ナット上部のカットを行いましょう。1フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 9.上部をカットしました。
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- 10.ヘッド側の放物曲面を削りだしていきます。
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- 11.放物曲面を削り出すとナットらしくなってきました。この曲面形状によっても音響特性は変わります。
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- 12.弦溝専用の定規を使ってオリジナル・ナットの弦溝位置を読みとります。
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- 13.その弦溝位置を新しいナットに書き込みます。正確な位置をマークするために、先を良く研いだ鉛筆を使います。
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- 14.弦溝をマーキング位置に従って正確に掘り込みます。
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- 15.弦高は少し高めに調整しています。サドルと一緒に弦高調整する際の削りしろを残しておきます。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.イントネータを取り付けました。ブリッジ保護のためにマスキングテープを貼り、サドル溝には薄アクリル板(1mm厚)を置いています。
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- 2.全フレットポジションのピッチを確認していきます。ピッチズレがあれば、イントネーターとペグを調整します。
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- 3.サドルピーク位置が決まりましたら、紙に控えておきます。
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- 4.TUSQスラブをサドル溝に合う厚みと幅を切り出しました。
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- 5.サドルとブリッジは隙間の無いように加工しましょう。(ナットと共にこれがいい音になるポイントです)
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- 6.ピッチ調整で控えておいた、サドルピーク位置をサドル上面に書き写します。
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- 7.サドル上面に書き写されたピーク位置をなぞるようにサドル山を削りだしていきます。
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- 8.オフセットサドルの完成です。
弦高調整
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- 1.弦を張りました。ナット弦高を調整しましょう。ストリングリフターで弦を持ち上げておきます。
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- 2.弦溝加工用のヤスリで徐々に弦高を落としていきます。
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- 3.2フレットを指で押さえて、1フレット山と弦がぎりぎり接触しない所までナットの弦溝を徐々に掘り下げます。
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- 4.同じ要領で全ての弦溝を調整します。
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- 5.ナット側の弦高調整を終えた後、サドル側の調整を行います。