S.Yairi YD-305
戻る広島県にお住まいのJ.H.さんからS.Yairi YD-305のリペアご依頼をいただきました。経年が生み出す素晴らしい音色です。より弾きやすくするためにネックリセット、リフレットを行いました
リペア前の状況確認
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- 1. 6弦12フレットの弦高です54mm弱あります。
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- 2. 同じく1弦側の弦高です。3mm強あります。
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- 3. ネックをロッドで出来るだけ直線に近づけた上で、直定規を当て、そのまま直定規をスライドさせてブリッジに当ててみます。
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- 4. ブリッジ面より下のこの位置にフレット面が向かっていることがわかります。この時点でネックリセットが必要との判断が出来ます。
ネックリセット
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- 1. 弦を外して、もう一度フレット面のブリッジ高を測定します。目盛りは4mmを指しています。
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- 2.ターゲットのフレット面を9mmに設定し、オリジナルよりも5mm上げることにします。(計算式からヒール部は約1mm削ることになります)
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- 3. 15フレットをハンダゴテで暖めながらゆっくりと抜いていきます
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- 4. フレット溝の奥にあるネックポケット(ネックとボディの接合スペース)にドリルで貫通穴を開けます。
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- 5.ヒーターを当て木との間にサンドイッチします。
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- 6.クランプで当て木を固定し、ヒーターに通電します。徐々に温度を上げていきます。
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- 7.最高温度でそのまま数分間置いた後、ナイフを差し込んでいきます。接着剤が熱で軟化しているのがわかります。
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- 8.フィンガーボードがボディからはずせましたので、次にネックを蒸気ではずします。まず専用のジグを取り付けます。
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- 9.子供にTシャツを着せる感じでジグを取り付けます。
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- 10.ジグ取り付けが完了しました。
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- 11.ジグの裏側はこのような形になっています。
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- 12. 蒸気発生用のエスプレッソメーカーにホースと蒸気注入ジグを取り付けます。
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- 13.15フレットの穴に先端を差し込んで蒸気を発生します。かなりの高温蒸気が発生しますので、ギターと体へのやけどには要注意です。
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- 14.ネック押さえを徐々に締めながら蒸気を注入していくと、数分後ネックがはずれます。
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- 15.ダブテイル・ネックジョイントがはずれました。
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- 16.蒸気の熱と湿り気が残っている間に古い接着剤(ニカワ)を削り落としておきます。
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- 17.ネック側にも接着剤が残っていますので、クリーニングします。
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- 18.クリーニング終了したネック接合部です。
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- 19.ボディ側ジョイント部も同様にクリーニングを行いました。
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- 20.ネックヒール部分です。ヒールキャップ(白いカバー)がついています。
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- 21.ヒールキャップを外しました。
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- 22.ネック角度から算出されたヒールの削り部分を残してマスキングテープを貼ります。(これが目印になります)
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- 23.ヒール部分を削っていきます。
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- 24.目標のヒール高が削り出せました。これに合わせてネック接合部を調整加工していきます。
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- 25.ネック接合部を削っていきます。フィンガーボード側(奥)は削らず、ヒール部(手前)だけに傾斜を持たせるように加工していきます。
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- 26.同様に6弦側も切削加工を行います。少しずつ慎重に削っていきます。
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- 27.ヒール部はよく研いだノミで削ります。
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- 28.ボディ側ネックスロットの外側にマスキングテープを貼ってボディを保護します。
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- 29.ネックとボディの間にサンドペーパー挟みます。
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- 30.ネックをボディに密着させながらサンドペーパーを抜き取ります。
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- 31.1弦側と6弦側の両方を行います。このとき両サイドの引き抜き回数を覚えておきます。
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- 32.ネック取り付けの直線性を確認します。直線けがき線の入ったアクリル板をネックからブリッジにかけて乗せます。
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- 33.ナット部分センター位置にケガキ線を合わせます。
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- 34.ブリッジ部分も同様にセンター位置にケガキ線を合わせます。
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- 35.そしてネックとボディの接合部(14フレット)のセンター位置にケガキ線が乗っていることを確認します。
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- 36.ボディ側もシムを取り付けてネック接合の準備が完了しました。
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- 37.HideGlue(膠:ニカワ)をフィンガーボード裏とネック接合部に塗っていきます。
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- 38.接着剤が均一になるようにヘラでのばしていきます。
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- 39.ネックとボディを接合します。ゆっくりジョイント部にネックを置きます。
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- 40.0.クランプと当て木でネックを固定します。
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- 41.クランプによってあふれ出た接着剤をふき取っていきます。
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- 42.このまま固着を待ちましょう。
フレット交換
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- 1.フレット交換の前にフィンガーボードにあけた穴を元に戻しましょう。エボニー材を細く削りました。
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- 2.ドリル穴にエボニー材を押し込みます。
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- 3.溝幅に合わせてのこぎりで切れ込みを入れます。
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- 4.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 5.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- 6.この要領で順番にフレットを抜いていきましょう。
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- 7.すべてのフレットを抜き終えました。
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- 8.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 9.軽くサンディングします。
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- 10.サンディング後のフィンガーボードです。フレット溝が削り粉で埋まってしまいました。
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- 11.削り粉をクリーニングします。
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- 12.フレット打ち込みの準備が整いました。
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- 13.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 14.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 15.フレットの切れ端はこのようになっています。バインディング処理を行いましょう。
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- 16.フレットのタング部分専用のプライヤーを使って端加工処理します。
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- 17.バインディング加工されたフレット端です。
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- 18.フレットプレスを行うジグ達です。
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- 19.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 20.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 21.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 22.フレットをプレスします。
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- 23.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 24.フィンガーボードのアールの変化を見ながら作業を進めます。
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- 25.2つ目のジグ(ボディとネックの接続部分付近担当)に先端ビットをセットします。
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- 26.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 27.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 28.順にプレスを進めていきます。
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- 29.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 30.フィンガーボードのアールに合わせて先端ビットを入れ替えていきます。
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- 31.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- 32.打ち込み終わったフレットの端はこのように飛び出ています。
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- 33.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 34.フレット端をカットしました。
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- 35.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 36.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- 37.ここで一旦フレットの削り粉を取り除きましょう。
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- 38.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
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- 39.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 40.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 41.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 42.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 43.さらに研磨タワシ(#600→#800)で研磨を進めます。
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- 44.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 45.プロテクタ類を外しましょう。
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- 46.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.ナットを取り外したナット溝です。比較的きれいな状態です。
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- 2.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 3.クリーニング完了したナット溝です。
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- 4.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 5.ナットの厚みを出し、ナット取り付け位置に密着することを確認します。
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- 6.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 7.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 8.ナット上部を切り取りました。
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- 9.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 10.ナットらしくなってきました。
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- 11.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 12.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 13.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 14.弦高調整前のナットができあがりました。
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- 15.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 16.ストリングリフターで弦を待避させておきます。このジグのおかげで弦を緩めたり張ったりすることが必要なくなりました。
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- 17.ナットの弦溝を徐々に掘り下げていきます。削っては隙間を確認し、の繰り返しを行います。
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- 18.3弦のナット高をギリギリまで下げました
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- 19.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します
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- 3.サドルピーク位置と目標弦高を書き写しておきます
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高のの切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.オフセットサドルが完成しました。