S.Yairi YD-42/N
戻る高知県にお住まいのY.M.さんから3本のギターリペアのご依頼をいただきました。一本目はS.Yairi YD-42/Nです
弦周りのTUSQ化と弦高調整を行いました
リペア後のギターを受け取られてY.M.さんから暖かいメッセージが届きました。Y.M.さん、ありがとうございました
これから進化していくYD-42/Nと素晴らしいギターライフを送られることをお祈りしております。
先日、受け取りましたYD-42についてですが、最初からそこそこ鳴るギターと感じていました。今回のリペアによってさらに進化した感じです。PhospherBronze弦ということもあるのでしょうが、4弦3弦を中心に艶やかな伸びのある音になり、全体としても音量アップしています
ギターが新しいこともあってVINTAGE物のような味はまだなく、少し硬い感じの音色ですが、この新しい時期にこのような音色のギターが今後、弾き込み少しずつ音が進化していく過程を経験できると考えると、なんと贅沢なことだと嬉しくなります。ギターの進化に負けないように奏者自身も進化しなくてはと感じました
樋口様のリペア職人の腕はもちろん、なにかとわがままな要望にも的確に対応していただいて、感謝しています
重症のMartin D-35を含め、後の2本もよろしくお願いいたします
ありがとうございました。
ナット作製
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- 1. ナットを外しました。薄く接着剤の跡が見られます。
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- 2. よく研いだ彫刻刀でこすり、古い接着剤を取っていきます。
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- 3.ナットスラブをネック幅に合わせて切り出します。
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- 4.ナットの接触面の平面出しをしています。
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- 5.ナット溝にピッタリはまるようにナットを削っていきます。
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- 6.ナットの密着度がギターの音色の善し悪しを左右する大きな要因の一つです。
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- 7.逆光を使って少しの隙間もないことを確認します。
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- 8.フィンガーボード側からも密着を確認したあと、フレット高にあわせてナット上部をカットしました。
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- 9.ヘッド側の放物曲面を削りだしていきます。弦の接触面積とペグからの突入角度をイメージしながら削り出します。
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- 10.ヘッド側の加工が終わりました。ナットらしくなってきました。
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- 11.オリジナルサドルから弦溝ピッチを読みとっていきます。弦溝加工専用の定規を使っています。(低音弦になるほど弦溝間隔が広くなっています)
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- 12.読みとった弦溝位置を新しいナットにマーキングしていきます。
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- 13.弦溝専用のヤスリで掘っていきます。ヤスリの幅は弦ごとに違っており、使用する弦のゲージで決定します。
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- 14.弦溝を掘り終えました。弦高調整前のナットです。
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- 15.弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて、1フレットと弦がぎりぎりまで近づくようにナット高を調整します。
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- 16.ストリングリフターで弦を待避しておきます。
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- 17.弦溝専用ヤスリで少しずつ溝を深く掘っていきます。このときも弦とナットの接触イメージをしながら作業を進めます。
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- 18.もう少し、というところで止めておきます。
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- 19.ナットを溝に接着した後、最終調整してナットの完成です。
サドル作製~ブリッジピン穴加工
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- 1. サドルスラブをサドル溝の幅に合わせて切り出します。
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- 2. サドル溝にぴったりとはまる厚みになりました。
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- 3. ブリッジとサドルの密着性が、いい音になるもう一つのポイントです。
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- 4. 一旦サドルをはずし、イントネーターとチューナーを取り付けました。
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- 5. すべてのフレットについて最適なサドル山位置を調整していきます。
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- 6. サドル山位置と算出されたサドル高を紙に控えておきます。
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- 7.ブリッジピン穴加工です。まず、糸鋸の刃で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 8.糸鋸加工が終わったピン穴です。
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- 9.ミニルーターで溝を太くするとともに、角度をつけていきます。
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- 10.ブリッジピン穴加工が終わりました。
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- 11. サドルを目標高に合わせてケガキ線を入れてカットします。
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- 12. サドル山位置をサドルの上面に書き写します。
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- 13.サドル山を削りだしていきます。
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- 14.弦高調整の終わったサドルとブリッジです。