Martin D-28
戻る東京都にお住まいのT.O.さんからGibson J-45, Martin D-28, HEADWAY HD-108のリペアご依頼を頂きました。いずれも弦周りのリペアを行いました リペア後の3本のギター達は素晴らしい音色を奏でてくれるようになりました。リペア後のギターを受け取られて、T.O.さんから暖かいメッセージが届きました。
この度は大変お世話になりました 3本とも以前とは全く違う音を奏でてくれます 週末に3本をとっかえひっかえ弾き続けました 一様に5、6弦の奥行きと張りが出ましたし、1、2弦は音の伸びが出ました ストローク時にバラバラしていた音達がまとまって鳴ってくれるようになりました 3本それぞれの特徴がしっかり現れたと感謝しています 樋口様のギターへの熱意がしっかり吹き込まれた感じです それに負けないように今後も音楽ライフに邁進して行きます 本当にありがとうございました また樋口様の今後のご活躍を遠方より祈っております。
T.O.さん、とても暖かいメッセージを頂き、ありがとうございました この度、3本のギターをリペアさせていただいて感じましたことは、年月を経たギターは各々の個性・特徴が時間と共に進化していくんだ、ということでした。リペア後のギターは同じ弦を張っているのに、全く異なる楽器のような音色を奏でていました きっとこれから先もギター達はT.O.さんの傍らで活躍されることと思います。是非素晴らしいギターライフをお送りください この度は弊工房にギターリペアのご依頼を頂き、誠にありがとうございました 今後とも何卒よろしくお願い致します。
ブリッジプレート・リペア
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- 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
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- 2.ローズウッド材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
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- 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
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- 4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。
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- 5.小穴があいたプラグです。まだローズウッド材に固定されています。
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- 6.切り出し終えたプラグたちです。
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- 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
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- 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 9.ボディ内にカッターを入れます。
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- 10.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 11.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
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- 12.1,3,5弦の凹み加工が終わった様子です。
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- 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
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- 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
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- 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
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- 16.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
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- 17.ワックスペーパーと当て木を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
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- 18.プラグの固着を待って、2,4,6弦のプラグ接着を行います。
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- 19.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
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- 20.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。
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- 21.プラグにブリッジピン穴を開けました。
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- 22.弦を張りました。エンドポールがしっかりと固定されています。
ナット交換
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- 1.ナット溝が深いため、切削除去します。
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- 2.ドレメル・ルーターにジグを取り付けました。
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- 3.ストレートビット(1/16")でナットを切削しています。
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- 4.切削後のナットです。
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- 5.ナットに当て木を当ててコンとたたくと・・・
- 5.ナットに当て木を当ててコンとたたくと・・・
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- 6.ナットが取り外せました。
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- 7. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 8.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 9.クリーニング完了したナット溝です。
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- 10.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 11.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 12.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 13.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 14.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 15.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 16.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 17.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 18.ナット上部を切り取りました。
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- 19.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 20.ナットらしくなってきました。
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- 21.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(T.O.さんのご希望により、Gibson J-45のナット幅を読みとりました)
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- 22.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 23.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 24.弦高調整前のナットができあがりました。
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- 25.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 26.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 27.6弦のナット高をギリギリまで下げました
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- 28.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します
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- 3.サドルピーク位置と目標弦高を書き写しておきます
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高のの切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.糸鋸加工が終わったブリッジ・ピン穴です。
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- 14.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 15.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 16.完成したオフセットサドルとブリッジです。
ピックガード脱着
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- 1.経年収縮によってピックガードが剥がれかけています。
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- 2.オリジナルピックガードを一旦外し、熱で平面に戻した後、再接着することにしました。
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- 3.ピックガードとボディの隙間からナイフをゆっくりと差し込んでいきます。
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- 4.ピックガードが外れました。
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- 5.ドライヤーで歪みを平面に矯正していきます。
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- 6.裏面の接着剤の跡も削り取っていきます。
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- 7.両面接着シートをピックガードより少し大きめに切り取りました。
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- 8.ベンジン(ナフサ)でピックガードの油分や汚れをきれいに拭き取ります。
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- 9.両面シートにピックガードを貼り付け、周囲を切り取っていきます。
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- 10.元の位置に再接着しました。
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- 11.リペア後のピックガードです。ほぼ平面に戻すことができました。
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- 12.経年収縮しているため、元の位置よりもやや内側に入っていますが、ほとんど目立ちません。