Morris S-102
戻る青森県にお住まいのA.K.さんからMorris S-102とSigma SEC-2000Jのリペアご依頼をいただきました。
S-102はフレットすりあわせと弦周りのTUSQ化、およびペグ交換を行いました。(Sigma SEC-2000Jはピックアップ取り付けのみでしたので、リペアファイルへの掲載は割愛させて頂きました)
リペア後のギターを受け取られて、 A.K.さんから暖かいメッセージが届きました。
モーリスS-102届きました。サウンドが劇的に変化しました
チューニング時から音の伸びに驚きました。音程がバチッときまり気持ちよいです
アルペジオを弾いてみると、俗に言われる・・弦に指が吸い付く感覚・・・とはこういうことを言うのでしょう
きらびやか且つメタリリックなサウンドで、このギターに命が吹き込まれました
ハーモニックスが空気中にずっと漂っている感じが何ともいえません
また、右手のタッチによってサウンドの表情も豊かに変化してくれます
ナットに弦が見事に接触していて、手作りでここまでできるのかというくらい精緻な作りで芸術的です。フレットもピカピカでとても綺麗です
弦高もベストまで下げていたき、弾きやすさはピカイチです!
どなたかがおっしゃっていた「樋口マジック」とは、このことなんですね!!
このギターを一生涯のパートナーにすることをここで約束します
そして樋口さんの仕事はワンアンドーオンリー!
これからも応援します。本当にありがとうございました。
オーナー様の胸に抱かれて弾かれるギター、そしてギターの音色に満足されているオーナー様・・・
ギターにとって最高の幸せなことだと思います
A.K.さんとMorris S-102がハッピーオーラで包まれた姿を想像すると、私もハッピーになってしまいます(笑)
いただきました暖かいお言葉の一言一言が本当に心にしみいります
非力ながら、喜んで頂けることへの手助けが出来る私は、本当に幸せ者だと思います
こちらこそ、本当にありがとうございます!!!
この度は弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願い致します。
フレットすりあわせ
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- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
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- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 9.プロテクタ類を外しましょう。
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- 10.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当てて、軽くコンとたたいてナットを取り外します。
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- 3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
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- 14.ナット上部をカットしました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します
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- 3.サドルピーク位置を書き写しておきます
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したオフセットサドルとブリッジです。
ペグ交換
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- 1.オリジナルペグです。
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- 2.Morrisのマークが入っています。
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- 3.表側のボルトを外した後、裏側の取り付けネジを外します。
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- 4.ペグを外しました。
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- 5.新しいペグはオープンバックタイプの物ですが、ペグブッシュが入りません。
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- 6.リーマーで穴径を大きくします。
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- 7.ペグブッシュが入るようになりました。
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- 8.きつめの穴径でブッシュが固定されました。
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- 9.裏側のペグ本体の取り付け穴も大きく、埋木する必要があります。
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- 10.ペグの取り付けネジ穴も一緒に埋木しました。
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- 11.ペグ穴を空け直し、取り付け完了しました。
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- 12.オープンバックタイプのペグを付けるとギターの雰囲気がグッと変わりました(笑)。