Martin HD-7
戻る大阪府にお住まいのT.D.さんから7弦仕様のMartin HD-7のリペアご依頼をいただきました。フレット交換を含む弦周りのリペアを行いました。 リペア後のギターを受け取られてT.D.さんから暖かいメッセージが届きました。
オデッセイ 樋口様
T.D.です
本日ギター届きました
弦高が低くなり、とても弾きやすくなりました
今まで気になっていた、高音弦の音のつまりというかコモったような感じも解消され、ギターが眠気からさめ、シャキッとしたような印象を受けました
おまかせリペアだったことと、G弦だけに複弦が張っているという珍しいギターだったことで、樋口様には色々(無言の)注文をお願いしたかもしれません
しかし、リペア後の演奏性や音色には大変満足しております
弦まわりリペアでここまで良くなるのかと驚くと同時に、楽器に(モノに)命を吹き込むのは人の力なのだということを知らされました
この度はどうもありがとうございました
健康に気をつけて、今後もたくさんのギターをリペアして下さい。
T.D.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
リペア後のギターの音色と演奏性にご満足いただけたとのこと、ホッと安心しております
最初、ギターを受け取り試奏させていただいたときは「う~~ん、こんなものなのかなぁ~」と少々モヤッとした印象を受けました
またオリジナルMartin特有のコモリ感、高音・低音の抜けの悪さ、特有フレットでの詰まり感が見られましたので、大きな改善への期待を込めてリペアを行わせていただいた次第です
リペア後(厳密にはリペア作業後半です)、ギターの音色を聴いて、イメージ通りのギターに仕上がったと思いました
HD-7は非常に素晴らしい個性のギターだと感じました
T.D.さんの元でHD-7が活躍することをお心からお祈りしております
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.フィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレット打ち込みの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 10.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 14.フレットをプレスします。
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- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 18.順にプレスを進めていきます。
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- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットをプレスしている様子です。
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- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 23.カットしたフレット端です。
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- 24.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します。
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- フレットエッジ整形の様子です。
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- 27.整形されたフレット端です。
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- 28.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 37.プロテクタ類を外しましょう。
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- 38.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.ナット溝が深いので切削除去を行います。
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- 3.ルーターでナット中央に溝を掘り込んでいきます。
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- 4.何回かのパスに分けて徐々に掘り込んでいきます。
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- ナットに溝を掘り込んでいるようです。
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- 5.溝を掘り終えたナットです。
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- 6.当て木を当てて割った後ナット片を取り除きました。
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- ナットを割って取り除いている様子です。
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- 7. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 8.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 9.クリーニング完了したナット溝です。
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- 10.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 11.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 12.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 13.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 14.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 15.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 16.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 17.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 18.ナット上部を切り取りました。
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- 19.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 20.ナットらしくなってきました。
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- 21.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 22.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 23.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 24.弦高調整前のナットです。
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- 25.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 26.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 27.ナット高調整前の弦溝です。
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- 28.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 29.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 30.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにフレット片、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.ピッチ調整後のサドル山位置を書き写していきます。
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- 3.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出し、サドルの底をフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 4.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 5.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 6.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 7.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 8.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 9.サドル山を削りだしています。
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- 10.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 11.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 13.サドルを取り付けました。
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- 14.完成したブリッジとサドルです。