YAMAKI W-300
戻る徳島県にお住まいのH.K.さんからYAMAKI W-300, SEAGULL SD-50, SEAGULL SS-50, WaterRoad OMC, SugiCraft SJ.03-04のリペアご依頼をいただきました YAMAKI W-300はフレット交換と弦周りのTUSQ化を行いました リペア後のギターを受け取られてH.K.さんから暖かいメッセージが届きました。
お世話になります
昨日、無事にギターが届きました
どうもありがとうございました
お孫さんご出産おめでとうございます
4人目で女の子だそうでかわいいでしょうね
ギターリペアをしていただいた感想です
Water Road OMC
このギターはオープンチューニングで使うことが多いのですが、ダウンチューニングをしてもしっかり鳴っています
サドルを通して弦振動がボディに伝わってるのがよくわかります
そして弦振動の共鳴音がサウンドホールから豊かな音色を出してくれています
弾いていて気持ちいいです。こんないい音が出るなんて驚きです
気になっていた弦高もいい具合に調整していただき演奏性が格段に上がりました
Sugi Craft SJ
こちらもオープンチューニングで使います
もともときらびやかで粒だった音が特徴だったのですが、音に深みと響きが加わりいい意味で変身してくれました
大満足です
思い切って弦周りのTUSQ化をしていただきよかったです
SEAGULL SS-50 SD-50
この2本はレギュラーチューニングで使います
年季が入っているのでフレット交換も含めてリペアしていただきました
ギターの持ってるポテンシャルを最大限に引き出していただいた感じです
YAMAKI W-300
これは私が中学生の頃に始めて買ったギターです
とは言っても一度大学生の頃に手放してしまったのですが、最近ネット同じ物をで見つけ購入しました
オブジェ感覚で部屋に飾っていたのですが、フレット交換と弦周りのTUSQ化をしていただき見事に蘇りましたね
安いギターですがなかなかどうして、いい音色を奏でてくれるようになりました
今回、樋口様にギターをリペアしていただき本当によかったです
このギター達を大切にし私自身も精進して練習に励みたいと思います
これからも元気で素晴らしい仕事を続けてくださいね
そして、今後ともよろしくお願いいたします
H.K.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
今回、1970年代のYAMAKI、1980~1990年代のSEAGULL、2000年以降のWaterRoadとSugiCraft、
5本のギターをリペアさせていただいて、時代変遷による変化や、経年経過による音色の変化など、
日本のギターの歴史を勉強させていただき、心より感謝しております
同時にギターをリペアしながら、その年代年代での自分を振り返ることも出来ました
そしてリペア後のギターにご満足いただけて、本当に嬉しく思っております
どうぞこれからも素晴らしいギター達と共に素晴らしいギターライフを送っていってください
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
こちらこそ今後とも何卒よろしくお願いいたします
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここで粉類をクリーニングします。
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- 7.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 8.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 9.カットしたフレット端です。
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- 10.プライヤーでフレット端のバインディング処理を行います。
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- 11.タング部の切り取られたフレット端です。
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- 12.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 13.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 14.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 16.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットをプレスしている様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたき、スライドして取り外します。
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- ナット取り外しの様子です。
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。