YAMAKI
戻る長野県にお住まいのK.H.さんからYAMAKIギターのリペアご依頼をいただきました、フレット交換、ブレイシング剥がれリペア、および弦周りのTUSQ化を行いました リペア後のギターを受け取られて、K.H.さんから暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ御中 樋口様
早速本日ギターを受け取りました
トータルリペアをお願いしたにも関わらず、非常に早い仕上がりで大変驚きました。そして手書きのお手紙からは樋口様の几帳面でご丁寧なお人柄が伝わってきて感激しました
さて、中古で手に入れたものの、状態が悪く放置していたYAMAKIですが、チューニングして弾いてみて本当に驚きました
見事に響きます。それも大変大きな煌びやかな音で
これがジャパニーズビンテージの底力で、このギター本来の持つ能力なのだなと再確認しました
そして弦高調整もベストで大変弾きやすくなっています
本当に感動しました
中古のギターはリペアが必ず必要なんだなと実感しました
40年間の歴史が詰まったこのギターをこれからも大切にしていきたと思います
このたびは心のこもった職人技、本当にありがとうございました
K.H.
K.H.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
リペア後のギターの音色にご満足いただけたとのメール文面を拝読させていただき、心からこの仕事をしてきて良かった、と感謝の気持ちでいっぱいになりました
K.H.さんからギターを受け取って、最初に試奏させていただいたとき、か細い響きの中にYAMAKIの美しい音色があったことを記憶しています
そして、このギターも本来の音色を取り戻せるのだろうか、という不安を感じたことも覚えています
リペアを進めていくうち、ボディタッピングの音が徐々にきれいな反響音になっていくにつれて、このギターは確実に蘇る!と確信を持てるようになりました
リペア後のギターの音色はK.H.さんの文面の通りです
吠えるような重低音からきらびやかな高音まで、ギター全体が空気をふるわせてくれるようになりました
これから数十年、このギターはYAMAKIサウンドを響かせ続けていってくれると思います
経年消耗が進んだ際には、またリペアをご検討ください。幾度でも蘇るギターだと信じています
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.ボディ内の様子です。フィンガーボードの内側に補強材が固定されています。
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- 10.ボディ内をジャッキで固定します。
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- 11.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 12.カットしたフレット端です。
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- 13.フレットタング部をプライヤーでカットします。
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- 14.バインディング加工後のフレット端です。
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- 15.フレットの端をハンマーで打ち込みます。
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- 16.中央部を打ち込みます。
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- 17.ネックジョイント部付近までこの要領でフレットを打ち込んでいきます。
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- 18.プレス用ジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットをプレスしている様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します。
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- フレット端を整形している様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
バックブレイシング浮きリペア
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- 1.サウンドホールからバックボードを覗いています。
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- 2.バックボードブレイシングに浮きが見られます。
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- 3.向かって右側の一番下(一番奥です)。
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- 4.こちらはその反対側(一番下の左側)です。
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- 5.向かって左側、下から2番目です。
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- 6.向かって左側、上から2番目です。全部で6カ所のブレイシングはガレが見られました。
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- 7.浮き部分をマスキングテープで保護します。
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- 8.浮き範囲をカバーできるよう、少し大きめに保護します。
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- 9.マスキングテープの上からタイトボンドを乗せます。
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- 10.ナイフでボンドを隙間に流し込んでいきます。
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- 11.マスキングテープを剥がして、ブレイシングをジャッキで固定します。
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- 12.同様にして全てのブレイシングを固定していきます。
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- 13.ブレイシング浮きがあると、割れの恐れがあるだけではなく、ビビリ音の原因にもなる場合があります。
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- 14.このまま固着を待ちましょう。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当てて、コンとたたきます。
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- ナットを取り外している様子です。
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- 3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
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- 14.ナット上部をカットしました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
サドル作製
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- 1.サドルピーク位置を記録したマスキングテープと新しいサドルスロットです。
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- 2.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します
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- 3.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 4.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 5.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 6.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 7.サドル高の切り出しを終えました。
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- 8.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 9.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 10.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 11.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 13.サドルを取り付けました。
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- 14.完成したオフセットサドルとブリッジです。