Martin D-45
戻る富山県にお住まいのHさんからMartin D-45, Martin D-41, YAMAHA LL36のリペアご依頼をいただきました。Martin D-45はフレット交換と弦周りのTUSQ化を行いました リペア後のギターを受け取られてHさんから暖かいメッセージ届きました
ギター工房オデッセイ 樋口英之 様
待望のギター3本が本日届きました
御手配ありがとうございました
で、早速弾いてみました
D-41は音質が激変しました。サドル・ブリッジピンも今回一挙に牛骨からTUSQに替えてもらったせいもあるかも知れませんが、まず高音のシャラシャラ倍音そしてリバーブが増えました
「眠れぬ夜」を弾いたら、目標にしている「レコードの音」でした
そしてサドルのテンションが上がって、元々の迫力ある低音が戻ったような気がしました
これからD-41はバンバンライブに持って出ようと思っています
でも、もったいないので、しばらくピックアップは付けません
D-45は1弦2弦の音が太くなりました。弱点が補正された感じです
それと高音の倍音とリバーブが増しました
弦高はばっちしでした。ありがとうございます
LL-36は前の荘厳過ぎる感じからライト感覚になったような気がします
暗い→少し明るい、みたいな感じです
ただやはり弦高が1弦で1.8mm6弦で2.2mmしかないので、張っておくとひっぱられてあと0.2mmずつ増えてくれたら丁度かなと思っております
多くの方の評判の良い書き込みは見ていましたが、やはりリペアに出す前は少し不安でしたが、こんなに手間暇掛けて丁寧に仕上げて頂いて本当にありがとうございました
ギターは弾きやすくなって音も良くなった!
ライブの回数も増えて、だんだん様子もわかって慣れてきた!
樋口様、ありがとうございました
Hさん、とても暖かいメッセージをいただき誠にありがとうございました
今回の目玉はおっしゃる通り、Martin D-41音色の激変だと思います。リペア前は以前の処方の影響が少し心配でしたが、ネックとボディの接合状態改善(ネックリセット)が良い結果を得られた大きな要因です。
Martin D-45, YAMAHA LL36も弦の振動をボディに最大限伝搬できるようになり、ギター全体から音が響き出る感じとなりましたが、Martin
D-41はギターの潜在能力をネックリセットで改善できた上で、伝搬効率向上がさらに大きな効果をもたらしたと考えられます
ご返却前に3本のギターを並べて試奏させていただいたとき、とても贅沢な時間を過ごさせていただいていることに、心から感謝の気持ちでいっぱいになりました。このような機会を与えてくださって本当にありがとうございました
これからも健康には留意されて、素晴らしいギターライフをお送りください
この度は弊工房にギターリペアご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願い致します
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 8.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 9.カットしたフレット端です。
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- 10.プライヤーでフレット端のバインディング処理を行います。
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- 11.タング部の切り取られたフレット端です。
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- 12.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 13.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 14.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 16.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットをプレスしている様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は見失わないように一カ所に集めておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.ナット溝が深いのでミニルーターを使って切削除去を行います。
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- ナット切削の様子です。
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- 3. 切削除去を行うドレメルルーターです。
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- 4.ストレートビットと固定ジグを取り付けました。
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- 5. ナットをなぞるようにカットしていきます。
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- 6.カット途中です。
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- 7. ナット溝底面直前で止めます。
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- 8.残り部分は割って除去します。
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- 9. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 10.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 11. クリーニング完了したナット溝です。
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- 12.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 13.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 14.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 15.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 16.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 17.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 18.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 19.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 20.ナット上部を切り取りました。
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- 21.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 22.ナットらしくなってきました。
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- 23.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 24.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 25.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 26.弦高調整前のナットです。
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- 27.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 28.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 29.ナット高調整前の弦溝です。
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- 30.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 31.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 32.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。