Morris W-40
戻る鹿児島県にお住まいのK.S.さんからMartin HD-28とMorris W-40のリペアご依頼をいただきました。Morris W-40はフレット交換と弦周りのTUSQ化を行いました。リペア後のギターを受け取られて、K.S.さんから暖かいメッセージが届きました。
新年 明けましておめでとうございます。
新年早々に届きました
2本のギターをさっそく開け、弾いてみました。音が見違えるようでした
特に、モーリスW-40は中学時代に買ったギターで、音がおかしくなっていたのですが、リペアをして頂き、音の鳴りが全く変わって返ってきました
爆音を響かせています。また、一つ一つの弦の音がはっきり分かり嬉しい限りです
マーチンHD-28は、ネックの浮き上がりがあり、今まであまり弾けませんでした
今回、ネックリセットをして頂き、音が大変よく鳴るようになって返ってきました。特に低音がよく響いています
また、ぎりぎりまで弦高調節をして頂き、本当に弾きやすいです
作業工程をインターネットで見させて頂きましたが、非常に丁寧で、樋口さんのギターに対する思い入れも伝わってきました
これで音がよくならないわけがないと確信しました
本当にありがとうございました
申し込みしてから、5年の月日が流れ、これで一段落というところですが、これからも宜しくお願いいたします。
K.S.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
本年もよろしくお願いいたします。
今回リペアさせていただいたギターは2本とも大きなポテンシャルを持つものでした
特にMorris W-40はジャパニーズ・ビンテージの黄金期に製作されたものだけに、リペア前後での音響特性は激変しました
またMartin HD-28はネック元起き(ヒール部浮き)があったため、演奏性はもちろんのこと、ネックとボディの接合状態も良くなかったので、音響性も悪い状況でしたが、ネックリセットを行うことでギターとして蘇ることが出来ました
いずれのギターも本来の姿に戻ることが出来て、喜んでいるのではないかと思います
これからも素晴らしいギターライフをお送りください。遠くからお祈りしております
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.フレット溝のグルー除去を行います。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 10.タングニッパでフレット端の加工を行います。
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- 11.タング部のカットされたフレット端です。
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- 12.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 13.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 14.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 16.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットプレスの様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は見失わないように一カ所に集めておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたきます。
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- ナット取り外しの様子です。
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 24.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。