Gibson B-25N
戻る北海道にお住まいのY.A.さんからGibson B-25Nのリペアご依頼をいただき、フレット交換およびナット交換を行いました。
リペア後のギターを受け取られて、暖かいメッセージが届きました。
樋口様
お世話になっておりますY.A.です。本日ギター受け取りました
早速弾いてみたところビックリしました。 難しい表現はできませんが凄く良い音がします! リペア前と音の響きが全く違う感じです
またナット交換フレット交換により弾きやすさもアップしました
2年以上待った甲斐がありました、丁寧にリペアしていただき本当に感謝致しております
樋口様もお身体には十分気を付けていただき、多くの人々に喜びと感動を与えて下さるよう願っております
この度は、大変ありがとうございました、失礼致します。
Y.A.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
リペア後の試奏で、45年あまり前に製作されたB-25Nの蘇った音色を私も堪能させていただきました
リペア前はサウンドホール付近だけから出ていた弦の音でしたが、リペア後はボディ全体、 ネックやヘッド部にも広がり、ギター全体が弦の振動を増幅しているような、そんな感触を受けました。
経年し枯れた部材に熟成された、まさに「ビンテージ」の音色に仕上がったと思います
これからもGibson B-25Nと一緒に素晴らしいギターライフをお送りください
この度は弊工房にギターリペアご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレット交換
-
- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
-
- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
-
- フレットを抜いている様子です。
-
- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
-
- 4.軽くサンディングします。
-
- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
-
- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
-
- フレット溝をクリーニングしている様子です。
-
- 7.フレットプレスの準備が整いました。
-
- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
-
- 9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
-
- 10.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
-
- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
-
- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
-
- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
-
- 14.ハンドルを回してフレットをプレスします。
-
- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
-
- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
-
- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
-
- 18.順にプレスを進めていきます。
-
- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
-
- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
-
- フレットプレスの様子です。
-
- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
-
- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
-
- 23.カットしたフレット端です。
-
- 24.カットしたフレット片は見失わないように一カ所に集めておきます。
-
- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
-
- 26.弦側のフレット端も同じように整形します
-
- フレット端整形の様子です。
-
- 27.整形されたフレット端です。
-
- 28.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
-
- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
-
- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
-
- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
-
- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
-
- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
-
- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
-
- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
-
- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
-
- 37.プロテクタ類を外しましょう。
-
- 38.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
-
- 1.オリジナルナットです。
-
- 2.当て木を当ててコンとたたきます。
-
- ナット取り外しの様子です。
-
- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
-
- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
-
- 5. クリーニング完了したナット溝です。
-
- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
-
- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
-
- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
-
- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
-
- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
-
- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
-
- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
-
- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
-
- 14.ナット上部を切り取りました。
-
- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
-
- 16.ナットらしくなってきました。
-
- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
-
- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
-
- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
-
- 20.弦高調整前のナットです。
-
- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
-
- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
-
- 23.ナット高調整前の弦溝です。
-
- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
-
- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
-
- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。