Epiphone FT30
戻る大阪府にお住まいのS.Y.さんからEpiphone FT30のリペアご依頼をいただき、フレット交換、アジャスタブルサドル・スロット化、および弦周りのTUSQ化を行いました
リペア後のギターを受け取られて、S.Y.さんから暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ
樋口英之様
リペアーありがとうございました
本日弾かさせていただきました
今回のリペアーで大きく変化を感じるのは、弦の張力の違いです
今までは弦高を下げられるだけ下げ弾きやすさを追求してはみるものの、音に力強さが無く、弱々しい感じばかりが気になっていました
リペアーの後は全く違いレスポンスのすばらしさ、またサステイーンも充実し、しっかりした弦張なのにとても弾きやすく仕上がっています
弦高もすばらしく逆にネックがとても落ち着いているように感じます
また音量の違いも顕著です。アジャスタブルサドル・スロット化やナット交換等がこれ程大きな効果を生むとは夢にも思っておりませんでした
交換されたサドル高から、なぜあの弦高が実現できるのか不思議でなりません
実は密かにネックリセットを覚悟していました
本当にプロの仕事を確認させていただきました
どうもありがとうございました
次は『CHAKI』をお願いしたく、また近々リペアーの申し込みを考えております
その時はまた宜しくお願いいたします
2012.6.14
S.Y. 記
S.Y.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
アジャスタブルサドルの宿命だと思うのですが、やはり弦の振動をボディに伝搬する最も重要な部分に中空の箇所が存在することが弱い音色の原因となっています
今回もボディ・ネックを含むボディの大きな潜在能力故に、音色と演奏性の激変を引き起こせたのだと考えております
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しく思うと共に、ホッと安心しております
次回のギターリペアご依頼もご検討いただけるとのこと、ありがとうございます
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.さらにフレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 10.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 14.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 18.順にプレスを進めていきます。
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- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットプレスの様子です。
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- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 23.カットしたフレット端です。
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- 24.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です。
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- 27.整形されたフレット端です。
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- 28.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 37.プロテクタ類を外しましょう。
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- 38.ピカピカのフレットになりました。
アジャスタブルサドル・スロット化
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- 1.オリジナルブリッジとアジャスタブルサドルです。
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- 2.サドルを外しました。
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- 3. アジャスタブルサドルより少し大きめにローズウッド材を切り出しました。
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- 4.サドルスロット・サイズに合わせてピッタリのスラブを切り出しました。
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- 5. 埋木の上部をブリッジ面に合わせて切り取ります。
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- 6.スロットサドル位置とピーク位置を確定するために2重にマスキングテープを貼ります。
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- 7. ピッチ調整後のサドル山位置をマスキングテープにマーキングしていきます。
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- 8.サドル山位置とサドル溝位置を重ねていたマスキングテープに書き込んでおきます。
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- 9.目標サドル高も測定・記録しておきます。
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- 10.サドル溝加工ジグを取り付けました。
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- 11.トリマのビット先端がサドル溝をなぞるように位置を微調整します。
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- 12.サドル溝を掘っています。
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- サドル溝加工ジグとトリマで溝加工を行っている様子です。
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- 13. マスキングテープを剥がします。
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- 14.サドルスロット化ができました。あとはサドル作製を行いましょう。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたきます。
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- ナット取り外しの様子です。
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5. クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。