Martin D-28
戻る
北海道にお住まいのK.K.さんからMartin D-28のリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化、およびピックガード交換を行いました
リペア後のギターを受け取られて、暖かいメッセージが届きました。
こんばんは マーチンD-28のリペアをお願いしました K.K.です。
本日 ギターが届きました
嬉しさのあまり すぐさま抱えてギターを弾こうとしたら
五十肩の右肩に激痛が・・・・・・。orz
痛みの少なくなる角度を 探しながら 試奏してみました。(笑)
感想は・・・・・・
『 ありがとうございます。 』 もう、この一言に尽きます
オデッセイのHPを ずっと見ていて
完成度の高さは 想像していたのですが
思っていた以上の 出来上がりでした
長年 不満に感じていたことは 見事に払拭され
低音の響き 高音の伸びやかさ
弦高が下がって弾き易くなったのに
ビビることの無い絶妙な弦高バランス
プロの技を見せて頂きました
不思議だったのが リペア前のギターを弾くと
飼い犬が ギターに向かって吠えまくっていたのですが
リペア後 ギターを弾くと その犬が
すやすやとそばで 眠ってしまったことです
かなり大きな音でかき鳴らしていたんですけどねぇ
耳障りな不協和音が無くなったのかなぁ?
不思議な一場面でした
今回は 本当にありがとうございました
ギターライフ楽しまさせて頂きます
樋口様も残暑 厳しきおり お体に気を付けて
それでは また
PS :リペア順番待ちの皆さん 待っている価値はありますよ!(^_^)v
K.K.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
リペア前は典型的な「こもり気味」なミカルタの音色でしたが、リペア後の試奏ではダイナミックかつ繊細なD-28の音色を蘇らせてくれました。また、ギターをお預かりした際に「五十肩」のことをお聞きしていましたので、出来る限り弦高を下げ、演奏性を向上させました
ワンちゃんの感性は快音と不快音を聞き分けることが出来るのかもしれませんね(笑)
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちで一杯です
私も五十肩を経験しましたが、ある日突然痛くなくなる日がきっとやって来ると思います
(私の場合は痛みを感じ始めて症状が無くなるまで、右肩は約半年、左肩は約一年かかりました
今では、あの激痛が嘘のようです。)
これからもD-28と共に素晴らしいギターライフをお送りください
ワンちゃんの子守歌を含めて・・・(笑)
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレットすりあわせ
-
- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
-
- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
-
- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
-
- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
-
- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
-
- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
-
- 7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
-
- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
-
- 9.プロテクタ類を外しましょう。
-
- 10.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
-
- 1.オリジナルナットです。
-
- 2.当て木を当ててコンとたたきます。
-
- ナット取り外しの様子です。
-
- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
-
- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
-
- 5.クリーニング完了したナット溝です。
-
- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
-
- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
-
- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
-
- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
-
- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
-
- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
-
- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
-
- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
-
- 14.ナット上部を切り取りました。
-
- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
-
- 16.ナットらしくなってきました。
-
- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
-
- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
-
- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
-
- 20.弦高調整前のナットです。
-
- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
-
- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
-
- 23.ナット高調整前の弦溝です。
-
- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
-
- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
-
- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
-
- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
-
- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
-
- 3.サドル山位置を書き写していきます。
-
- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
-
- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
-
- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
-
- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
-
- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
-
- 9.サドル高の切り出しを終えました。
-
- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
-
- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
-
- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
-
- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
-
- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
-
- 15.サドルを取り付けました。
-
- 16.完成したブリッジとサドルです。
ピックガード交換
-
- 1.オリジナル・ピックガードです。
-
- 2.オーナー様によって取り外されていました。
-
- 3.TOR-TIS素材に外周線を記入しました。
-
- 4.少し大きめに切り出しました。
-
- 5.オリジナルピックガードと重ねます。
-
- 6.周囲を削っていきます。
-
- 7.TOR-TIS素材は常温では堅くなり、割れやすいので慎重に作業を進めていきます。
-
- 8.両面接着シートを少し大きめに切り出しました。
-
- 9.シートをピックガードに貼って、はみ出た部分をカットします。
-
- 10.位置決めをしています。
-
- 11.ピックガード交換完了です。
-
- 12.ギターの表情が変わりました(笑)。