YAMAHA L-15
戻る長崎県にお住まいのS.Y.さんからYAMAHA L-15のリペアご依頼をいただき、フレット交換を含むトータルリペアを行いました リペア後のギターを受け取られて暖かいメッセージが届きました。
オデッセイ
樋口様
ギター受け取りました。新品のようになり驚きました
すべてが申し分ない仕上がりで大変満足しています
特に気に入ったのはピックガードの削り出しで、 エッジの微妙な寸法や角度の処理がとても丁寧で素晴らしく、 ギターの顔がイメージ通りにしっかりできたことを嬉しく思いました
30年前にバイトで貯金して買い、20代の行動を共にしたギターでしたが、 ここ20年近くは、もはや弾けない状態のまま仕舞い込んでおり、
その間、マーティン・ギブソンのマホガニー系を弾いていたため、 このギターがどんな音なのかすっかり忘れていました
久しぶりに弦を張った姿を見て、 最初は音が出ることさえ不思議な印象でしたが、
マホガニー系とは違った弾き心地や、 音量やサスティンなど荒々しいくらいの鳴りを感じながら、 昔はずっとこの音で弾きこんでいたのだなと、
多少の戸惑いと学生時代の懐かしさが交錯する思いがしました
これからも大事に弾き続けていきたいと思います
ご丁寧なお手紙までいただき有難うございました
S.Y.
S.Y.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
ピックガードの出来具合にご満足いただけてとても嬉しい気持ちです
ギターを受け取った際の試奏では控えめな少し寂しい音色でしたが、今回のリペアで特に低音域の改善が見られ、全体としてのボリュームアップといつまでも弦の響きの聞こえるサステインがアップしました
これからも青春時代を一緒に過ごしたL-15と素晴らしいギターライフを送ってください
新たにリペアご予約をいただきましたギターをリペアさせていただく日を楽しみにしております
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 10.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 11.タングニッパでフレット端の加工を行います。
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- 12.タング部のカットされたフレット端です。
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- 13.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 14.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 16.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットプレスの様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は見失わないように一カ所に集めておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取り除いていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.ナットはすでに外れていました。
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。
ピックガード作製
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- 1.ピックガードは外された状態でした。
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- 2.ピックガード型よりも少し大きめにTOR-TIS素材を切り出しました。
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- 3.素材と型を両面テープで仮付けします。
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- 4.周囲を削っていきます。
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- 5.TOR-TIS素材は常温では堅くなり、割れやすいので慎重に作業を進めていきます。
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- 6.両面接着シートを少し大きめに切り出しました。
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- 7.シートをピックガードに貼って、はみ出た部分をカットします。
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- 8.ピックガード取り付け完了です。
ペグ交換
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- 1.オリジナルペグです。
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- 2.経年消耗によりチューニングが安定しませんので交換します。
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- 3.オリジナル・ペグを取り外しました。
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- 4.新しいペグを取り付けます。
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- 5.交換完了です。
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- 6.スムーズかつ安定したチューニングができるようになりました。