Gibson Hummingbird
戻る東京都にお住まいのH.M.さんからGibson Hummingbirdのリペアご依頼をいただきました。H.M.さんからは以前にAriaのリペアご依頼をいただいており、今回2本目のギターリペアとなります。リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ
樋口様
無事、Hummingbird到着しました。
前回のAriaに引き続きのリペアでしたが、やはり安定していますね
ありがとうございます
実は、以前よりMapleの硬質な音が好きで、いつかはDOVEをと思っていました
しかし、GibsonがDOVEの製造をやめてしまった為、慌てて探していたところ、偶然、DOVEと同じMapleサイドバックのHummingbirdを見つけ、衝動買いしてしまいました。しかも実機の見えないネットでの購入でした
Mapleは鳴るまでに時間がかかる材ですので、製造から20年経った本機が、丁度鳴り始める頃かと期待しての購入でした
しかし、実際手に取ると、鳴らない。つまらない。音圧のない、ギターでした
ガッカリした時に思い出したのが、以前のAriaリペアでした
Mapleの宿命でしょうか、お腹にドンと来るような音圧はリペア前と大きな差は出ませんでしたが、サスティーンが倍くらい伸びていました
お~。本物の音になった
このサスティーンが、まさにHummingbird
ジャキジャキとサスティーンなく掻き鳴らすのは、J-45に任せるとして、サスティーンがあり、硬質なシャリーンとした音は、期待通りMaple音でした
さらにこのまま弾き込めば、Mapleの箱鳴り感は増して来るでしょう
楽しみです
ありがとうございました
H.M.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
前回のAriaに引き続いてH.M.さんのギターをリペアさせていただいて本当に嬉しく思っています
今回のHummingbirdはリペア前の試奏では本当に寂しい音色でしか鳴ってくれませんでしたが、リペア後はとても元気になってくれました。私もホッと安心しています
H.M.さんの今後の素晴らしいギターライフをお祈りしております
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレットすりあわせ
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- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
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- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 9.プロテクタ類を外しましょう。
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- 10.ピカピカのフレットになりました。
ブリッジプレート・リペア
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- 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
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- 2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
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- 埋木プラグを切り出している様子です。
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- 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
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- 4.プラグの中央に小穴を開けるためにプラグ中央にポンチで凹みを入れます。
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- 5.小穴があいたプラグです。まだ、メイプル材に固定されています。
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- 6.切り出し終えたプラグたちです。
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- 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
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- 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 9.プレートの凹み加工を行います。
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- 10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
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- 11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
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- 12.1、3、5弦の凹み加工が終わった様子です。
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- 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
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- 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
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- 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
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- 16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。
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- 17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
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- 18.ワックスペーパーと当て木を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
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- 19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
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- 20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。
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- 21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
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- 22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。
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- ブリッジピン穴を空けている様子です。
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- 23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
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- 24. 弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当てて、コンとたたきます。
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- ナットを取り外している様子です。
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- 3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
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- 14.ナット上部をカットしました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したオフセットサドルとブリッジです。