Stafford SAD-1999
戻る長野県にお住まいのK.H.さんからStafford SAD-1999とMartin D-28のリペアご依頼をいただきました。K.H.さんからは以前、YAMAKIのギターリペアご依頼をいただいております。K.H.さん、いつもありがとうございます リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ 樋口様
K.H.です
仕事がバタバタしておりまして、十分な試奏をしている暇がなく、ご連絡が遅くなり申し訳ありません。
この楽器(Stafford SAD-19999)は手元に届いた時に、すでに腹が出ていてトップ板が非常に心配でした。
しばらくすると紙一枚挟めるくらいブリッジが浮き出して、最終的には完全にブリッジがはがれてしまい、演奏が不可能となりずっと眠ったままにしておいたものでした
今回、樋口様のリペアにより完全に復活し、非常に日本の楽器らしい音で倍音豊かに鳴ってくれています。
弦高もアルペジオもピックも弾きやすい高さでハイフレットも楽に押さえることができます
非常に弾きやすい鳴りの良いギターになって蘇ったなと感動しております
エレアコにしては少々鳴りすぎるぐらいのギターになったな(笑)というのが嬉しいところです
D-28はだいぶサドル高を下げていただき、かなり弾きやすくなりました。
フィンガーのアルペジオでもハイフレットまでかなりキレイな音で鳴っています。
だいぶ残りのサドル高の余裕がなかったので少しネックが元起き気味になってきているのかなとも思いましたが、このまま年数弾き込んでいき、必要に迫られた時にネックリセットを検討したいと思います。
本当にありがとうございました。
K.H.さん、大変お忙しい中、暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
今回リペアご依頼をいただいたStaffordとMartin、そして以前リペアさせていただいたYAMAKIともにご満足いただけて、私もホッと安心すると共にとても嬉しい気持ちで一杯です。
Staffordは瀕死の重傷でしたが、ギターとして蘇ることが出来ました。
またMartinは仰るとおり、ネックリセットぎりぎり必要な状態でしたが、サドルを限界まで下げることで演奏性を確保させていただきました
これからもリペアさせていただいたギター達がK.H.さんの傍らで活躍し続けることを祈っております。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
ブリッジ脱着
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- 1.ブリッジに浮きが見られます。
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- 2.ブリッジの大きさに合うラバーヒーターを準備しました。
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- 3.ヒーターをクランプします。
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- 4.温度をモニタしながら徐々に温度を上げていき、接着面が緩むまで待ちます。
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- 5.接着面にナイフを挿入していきます。
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- 6.少しずつナイフを進めていきます。
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- ブリッジ取り外しの様子です。
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- 7.ブリッジが外れました。
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- 8.接着面をクリーニングします。
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- 9.再接着の準備が整いました。
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- 10.湯煎したニカワを接着面に塗ります。
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- 11.全体に薄く塗っていきます。
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- 12.そっとブリッジを乗せます。
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- ブリッジ再接合の様子です。
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- 13.マスキングテープを剥がします。
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- 14.このまま固着を待ちます。
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です。
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.ここでフィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 9.バッテリホルダがあるためハイフレット部は打ち込みを行います。
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- 10.フィンガーボード下をジャッキで固定しました。
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- 11.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 12.加工前のフレット端です。
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- 13.タングニッパでフレット端の加工を行います。
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- 14.タング部のカットされたフレット端です。
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- 15.プラスティック・ハンマで打ち込みます。
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- 16.順に打ち込んでいきます。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.プレスジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットをプレスしている様子です。
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します。
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- フレット端を整形している様子です。
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたきます。
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- ナット取り外しの様子です。
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- 3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
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- 14.ナット上部をカットしました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したオフセットサドルとブリッジです。