Martin D-18V
戻る大阪府にお住まいのY.O.さんからMartin HD-28VとMartin D-18Vのリペアご依頼をいただきました。Martin D-18Vはフレット交換、弦周りのTUSQ化を行いました。Y.O.さんからは、これまでJAGARD、Gibson J-45、Thompson TM1、Martin HD-28V(今回と同一個体です)のリペアご依頼をいただいており、今回で3回目、のべ6本目のご依頼となります。Y.O.さん、いつも本当にありがとうございます リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ 樋口英之様
このたびもお世話になり、ありがとうございました
D-18V、HD-28Vとも、フレット・ナット・サドルの交換に加えて弦高もかなり低くしてもらったので非常に弾きやすくなりました
また、18Vの1弦をプリングオフしたときの弦落ちも解消されました
リペア後の感想ですが、両ギターとも、音のバランスがびっくりするくらい良くなったと同時に、音色がクリアになったと感じています
軽く弾いても各弦がしっかりと鳴っていて、それらがうまく混ざって気持ちのいい音がしています
俗に言うマーチンの倍音成分が豊かになったような、そんな印象です
いつもながらの丁寧なリペアに感謝いたします
小生、ギターのリペアはオデッセイの樋口さんと決めておりますので、次回もまたよろしくお願いいたします。
Y.O.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
Y.O.さんから最初にMartin HD-28Vのリペアのご相談をいただいてから、今年でちょうど10年となります
いつも暖かいお心遣いをいただいて、本当に感謝しております
今回は同じメーカー、同じサイズ、ほぼ同じ構造でありながらバック素材が異なる2本のギターをリペアさせていただき、素材による出音の大きな違いを確認させていただきました
マホガニーの明るい音とローズウッドの太い音の違いは今回リペアを行うことでさらに顕著となりました
リペア後の試奏では2本を弾き比べながら、その音色を楽しませていただいた次第です(笑)
大変貴重な経験を与えていただき、本当にありがとうございました
これからもY.O.さんの傍らで、より個性の蘇ったギター達が活躍することをお祈りしています
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.フィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 9.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 10.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 14.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 18.順にプレスを進めていきます。
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- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットプレスの様子です
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- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 23.カットしたフレット端です。
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- 24.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です
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- 27.整形されたフレット端です。
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- 28.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
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- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 37.プロテクタ類を外しましょう。
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- 38.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたいた後スライドして取り外します。
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- ナット取り外しの様子です
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。(1弦側を約0.5mm内側へ移動します)
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 7.サドル高の切り出しを終えました。
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- 8.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 9.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 10.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 11.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 13.ロングサドル・エッジスロープの加工を行います。
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- 14.半丸ヤスリでスロープを粗く削り取ります。
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- 15.ブリッジ面をマスキングテープで保護します。
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- 16.粗削りを行ったサドルを取り付けました。
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- 17.ミニルーターに円錐ビットを取り付けて少しずつブリッジ面に合うようサドルスロープを低くしていきます。
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- 18.ルーター加工を終えたところです。マスキングテープを少しこするところで止めました。
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- ロングサドル端整形の様子です
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- 19.スロープ加工後のエッジです。
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- 20.ブリッジ面とほとんどツライチになっています。
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- 21.サドルを取り付けました。
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- 22.完成したブリッジとサドルです。