Martin OM-45
戻る兵庫県にお住まいのT.H.さんからMartin OM-45のリペアご依頼をいただき、ピッチずれ解消のためサドル溝再加工、ブリッジプレート・リペアなどを含むリペアを行いました リペア後のギターをお引き取りにお越しになったT.H.さんから、とても暖かいメッセージが届きました。
Martin OM45 1979年製は、私の所有するギターの中でも最も美しい音を奏でるギターでしたが、以前から、2つの問題を抱えていました
1つは、トップ板の膨らみです
樋口さんの指摘で、ブリッジの真裏に当たるメイプル板に亀裂が入っていることが分かり治して頂きました
リペア後、試しに弦を張りっぱなしにしていますが、以前のようなトップ板の膨らみは治まっているようです
それだけでなく、ブリッジ周りがしっかりしたことで、本来の鳴りが戻ったようで、1~2弦のが非常に伸びとも力強い音になっています
2つ目は、ピッチズレです
マーチンの79年製と言うことで、サドルの位置が本来の位置よりも5mm程でしょうか、前方にセットされておりました
そのせいで、せっかくの音色もハイフレットになればなるほど、ピッチズレに残念な思いをしておりましたが、今回のリペアで解決されています
今、本来のOM45の鳴りを体験し感激しています
オデッセイ様、ありがとうございました。
T.H.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました
今回、ブリッジ周辺のリペアをご依頼いただき、仰る通り、大きく改善されたギターの状態をリペア後の試奏で実感した次第です
リペア前にT.H.さんとリペア内容について調整させていただきながら、ギターへの深い愛情と大きな思い入れを感じました
T.H.さんの傍らで活躍するギターは幸せだなぁ、と思いながらリペアを進めさせていただきました
これからも素晴らしいギターライフをお送りください
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
ブリッジプレート・リペア
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- 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
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- 2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
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- 埋木用プラグを切り出している様子です
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- 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
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- 4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。
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- 5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
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- 6.切り出し終えたプラグたちです。
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- 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
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- 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
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- 11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
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- 12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。
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- 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
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- 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
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- 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
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- 16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。
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- 17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
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- 18.アクリル板を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
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- 19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
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- 20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。
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- 21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
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- 22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。
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- ブリッジピン穴を空けている様子です
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- 23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
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- 24.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。
サドル溝再加工
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- 1.オリジナルブリッジです。サドル位置移動することでフレット音痴解消を行います。
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- 2.オリジナルサドル溝を埋木するためエボニー材を切り出しました。
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- 3.オリジナル・サドルスロットにぴったりはまるようになりました。
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- 4.ブリッジ上面より少し高く切り出し、削っていきます。
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- 5.埋木を終えました。
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- 6.サドル位置を書き写すためにマスキングテープを2重に貼りました。
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- 7.サウンドホールにチューナー、ブリッジにイントネーターを取り付けます。
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- 8.ピッチ調整を行い、イントネーターでサドル山位置を確認していきます。
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- 9.サドル山位置をマスキングテープに書き込んでいきます。
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- 10.弦高測定によって目標サドル高も記録しておきます
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- 11.溝位置とサドル山ピーク位置を別々に記録しておきます。
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- 12.サドル溝加工ジグを取り付けました。
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- 13.トリマの位置決めを行っています。
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- 14.サドル溝加工を行っています。
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- トリマでサドル溝再加工を行っている様子です。
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- 15.オリジナルよりも約2mmボトム側へサドル位置が移動しました。
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- 16.サドル作製工程へ移りましょう。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル高を切り出したサドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。