Gibson J-45
戻る高知県にお住まいのY.T.さんからGibson J-45のリペアご依頼をいただき、レフティ化(左利き対応)として、ブリッジ上サドル溝再加工、ピックガード脱着を行いました。加えて、フレット交換、ブリッジプレート・リペア、弦周りのTUSQ化などを行いました リペア後のギターを受け取られて、Y.T.さんからとても暖かいメッセージが届きました。
樋口様
改めて、この度はありがとうございました
中古で購入してからリペアするまでの半年間は私が弾いてました。(簡単なコードしか弾けない超初心者)
「音が深くてかっこいい」
「低音が鳴る」
私には充分すぎるギターでした
さて、左利きの主人の為にレフティ化して戻ってきたギターは、
「かっこいい中にも上品な音?」
すみません💦説明できませんが確かに違う!!
主人は「弾きやすい!」と喜んでいます
左でギブソンが弾きたいとの主人の思いに快く応えてくださって本当にありがとうございました
また更に楽しいギターライフの始まりです♪♪♪
Y.T.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
ご主人が左利きのギターを手にすることへのお手伝いが出来て、私もホッとしております
リペア後の試奏では短音弾きしかできませんでしたが、深い音色を確認することが出来ました
(本来ではボディ内ブレイシングの一部もレフティ化する必要がありましたが、オリジナル状態でも出音、および強度には全く問題ありませんでした)
リペア後のギターがこれからもY.T.さんご夫婦のギターライフの傍らで活躍することをお祈りしております
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
サドル溝再加工(左利き対応)
-
- 1.オリジナルブリッジです。
-
- 2.左利き用の弦配置に合わせるため、オリジナルの右利き用のサドル溝を埋木して新たに溝加工を行います。
-
- 3.埋木用のローズウッド材を切り出しました。
-
- 4.溝にフィットするように加工しました。
-
- 5.上面とサイドを少しずつ削り取っていきます。
-
- 6.埋木を終えました。サドル溝を加工していきましょう。
-
- 7.サドル位置を書き写すためにマスキングテープを2重に貼ります。
-
- 8.サウンドホールにチューナー、ブリッジにイントネーターを取り付けます。
-
- 9.ピッチ調整を行い、イントネーターでサドル山位置を確認していきます。
-
- 10.サドル山位置をマスキングテープに書き込んでいきます。
-
- 11.サドル山位置を確定します。
-
- 12.弦高測定によって目標サドル高も記録しておきます
-
- 13.溝位置とサドル山ピーク位置を別々に記録しておきます。
-
- 14.サドル溝加工ジグを取り付けました。
-
- 15.トリマの位置決めを行っています。
-
- 16.サドル溝加工を行っています。
-
- サドル溝加工を行っている様子です。
-
- 17.マスキングテープをはがします。
-
- 18.左利き用サドル溝加工を終えました。サドル作製工程へ移りましょう。
ピックガード脱着(左利き対応)
-
- 1.リペア前のピックガードです。
-
- 2.右利き用の一に張られてあるので、一旦剥がして裏返した後、左利き用の位置に貼り直します。
-
- 3.ナイフを挿入していきます。
-
- 4.ピックガードが外れました。
-
- 5.接着シートが分厚く残っています。
-
- 6.除去とクリーニングを行いましょう。
-
- 7.ピックガード接着面のクリーニングを終えました。
-
- 8.新しい両面接着シートを少し大きめに切り出しました。
-
- 9.ピックガードに貼り付けた後、はみ出した部分をカットします。
-
- 10.位置決めを行っています。
-
- 11.脱着を終えました。
-
- 12.弦を張りました。
フレット交換
-
- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
-
- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
-
- フレットを抜いている様子です
-
- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
-
- 4.軽くサンディングします。
-
- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
-
- 6.フィンガーボードをクリーニングします。
-
- 7.フレットプレスの準備が整いました。
-
- 8.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
-
- 9.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
-
- 10.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
-
- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
-
- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
-
- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
-
- 14.ハンドルを回してフレットをプレスします。
-
- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
-
- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
-
- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
-
- 18.順にプレスを進めていきます。
-
- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
-
- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
-
- フレットプレスの様子です
-
- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
-
- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
-
- 23.カットしたフレット端です。
-
- 24.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
-
- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
-
- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します
-
- フレット端整形の様子です
-
- 27.整形されたフレット端です。
-
- 28.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
-
- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
-
- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
-
- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
-
- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
-
- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
-
- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
-
- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
-
- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
-
- 37.プロテクタ類を外しましょう。
-
- 38.ピカピカのフレットになりました。
ブリッジプレート・リペア
-
- 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
-
- 2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
-
- プラグを切り出している様子です
-
- 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
-
- 4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。
-
- 5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
-
- 6.切り出し終えたプラグたちです。
-
- 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
-
- 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
-
- 9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
-
- 10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
-
- 11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
-
- 12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。
-
- 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
-
- 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
-
- 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
-
- 16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。
-
- 17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
-
- 18.アクリル板を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
-
- 19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
-
- 20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。
-
- 21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
-
- 22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。
-
- ブリッジピン穴を空けている様子です
-
- 23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
-
- 24.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。
ナット交換
-
- 1. オリジナルナットです。
-
- 2.当て木を当ててコンとたたいて外します。
-
- ナット取り外しの様子です。
-
- 3. ナットを取り外したナット溝です。
-
- 4.ナット溝のクリーニングを行います。ナット溝に残った不要物を削り取っていきます。
-
- 5.クリーニング完了したナット溝です。ナットが溝と直接触れることによってギターの音色の改善が期待できます。
-
- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
-
- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
-
- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
-
- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
-
- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
-
- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
-
- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
-
- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
-
- 14.ナット上部を切り取りました。
-
- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
-
- 16.ナットらしくなってきました。
-
- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
-
- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
-
- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
-
- 20.弦高調整前のナットです。
-
- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
-
- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
-
- 23.ナット高調整前の弦溝です。
-
- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
-
- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
-
- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
-
- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
-
- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
-
- 3.サドル山位置を書き写していきます。
-
- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
-
- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
-
- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
-
- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します
-
- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
-
- 9.サドル高の切り出しを終えました。
-
- 10.サドル高を切り出したサドル上部にピーク位置を書き写します。
-
- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
-
- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
-
- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
-
- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
-
- 15.サドルを取り付けました。
-
- 16.完成したブリッジとサドルです。
ブレイシング剥がれリペア
-
- 1.サウンドホールからボディ内を覗いています。
-
- 2.ボディ向かって右側一番下のブレイシングです。
-
- 3.左側一番下です。
-
- 4.左側下から2番目。
-
- 5.左側上から2番目。
-
- 6.そして左側一番上。全部で6カ所のブレイシングが浮いています。
-
- 7.浮き部分をマスキングテープで保護した後、タイトボンドを乗せてナイフでボンドを隙間に流し込んでいきます。
-
- 8.ジャッキで固定します。
-
- 9.6カ所を同様に補強していきます。
-
- 10.このまま固着を待ちましょう。