Martin D-42 Peter Frampton's Camel
戻る福井県にお住まいのG.N.さんからMartin D-42 Peter Frampton's Camelのリペアご依頼をいただきました。このギターは以前にトータル・リペアさせていただいた個体ですが、新たにブリッジ割れが見られたため、ブリッジ交換、およびフレットすりあわせ、ブリッジプレート・リペアを含むトータルリペアを行いました リペア後のギターを受け取られて、G.N.さんからとても暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ 樋口 様
9月9日(木)にギターを受け取りました。お預けしてから約3か月。
長いようで、受け取るとあっという間だったような気がします
受取った木曜日はたまたまアマチュアバンドの練習日でしたので、さっそく活躍の場でした。メンバーもやっぱりアコギが入るといいね。特にD42はD35と違い繊細な音を響かせる、と褒めて貰いました
リペアファイルで私のギターが樋口さんにより甦るのを見ると、とても感動します。1回目のリペアでも大変な作業をして貰い、戻って来た時の音色は感動ものでしたが、今回はブリッジ割れでひどい音でしたので、どうなるかなと思いましたが、樋口さんにお任せすれば絶対大丈夫だと思い安心してお願いしました。今回のリペアから戻って来たギターは、以前より繊細な音色ではないかと思います。本当にありがとうございました
これからもギターリペアのお仕事にご活躍をされますことをご祈念しお礼とさせて頂きます。
G.N.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
リペア前はブリッジ割れの広がりが見られ、サドルが弦の張力によって、大きく傾いていましたので、弦の振動がサドル~ブリッジからボディへほとんど伝搬できていない状況でした
今回、ブリッジ作製・交換を含めたブリッジ周辺のリペアを行うことで、ギター本来の音色を取り戻せたと思っています
これからもG.N.さんの傍らで蘇ったギターが活躍することをお祈りしております
どうぞ素敵なギターライフをお送りください。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
ブリッジ交換(新規作製)
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- 1.オリジナルブリッジです。
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- 2.6弦側に割れが見られます。
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- 3.取り外したブリッジです。サドル溝に沿って割れが見られます。
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- 4.ピックアップ(ピエゾ素子)装着用にサドル溝底面を追加工した溝がサドル底面に達していました。
ブリッジ取り外し
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- 5.これはラバーヒーターです。
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- 6.当て木と一緒にクランプしました。
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- 7.温度をモニタしながら徐々に温度を上げていき、接着面が緩むまで待ちます。
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- 8.ブリッジが暖まったところで接着面にナイフを挿入していきます。
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- 9.慎重にナイフを進めていきます。
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- 10.ブリッジが外れました。
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- ブリッジ取り外しの様子です
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- 別角度からです
- 別角度からです
ブリッジ作製
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- 11.接着面をクリーニングしておきます。
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- 12.エボニー・ブランクです。オリジナルブリッジを参考に新しいブリッジを削り出していきましょう。
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- 13.外形を切り出しました。
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- 14.ブリッジピン穴加工ジグを取り付けました。
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- 15.ピン穴位置を確認しています。
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- 16.ピン穴を開け終えました。
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- 17.両サイドのスロープ加工を行いました。
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- 18.上下の丸みをつけました。
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- 19.ブリッジピン穴に傾斜加工を施しました。
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- 20.新しいブリッジの削り出しを終えました。
ブリッジ接着
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- 21.接着面周囲をマスキングテープで保護しました。
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- 22.湯煎したニカワを接着面に塗ります。
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- 23.接着面全体に薄く塗っていきます。
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- 24.そっとブリッジを乗せます。
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- 25.クランプしています。
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- 26.クランプで溢れたニカワを拭き取っていきます。
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- ブリッジ再接合の様子です
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- 別角度からです
- 別角度からです
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- 27.マスキングテープを剥がします。
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- 28.このまま固着を待ちます。
サドル溝加工
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- 29.固着後のブリッジです。
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- 30.サドル溝を加工していきましょう。
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- 31.サドル位置を書き写すためにマスキングテープを2重に貼ります。
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- 32.サウンドホールにチューナー、ブリッジにイントネーターを取り付けます。
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- 33.ピッチ調整を行い、イントネーターでサドル山位置を確認していきます。
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- 34.サドル山位置をマスキングテープに書き込んでいきます。
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- 35.サドル山位置を確定します。
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- 36.弦高測定によって目標サドル高も記録しておきます
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- 37.溝位置とサドル山ピーク位置を別々に記録しておきます。
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- 38.サドル溝加工ジグを取り付けました。
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- 39.トリマの位置決めを行っています。
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- 40.サドル溝加工を行っています。
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- サドル溝加工を行っている様子です
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- 41.マスキングテープをはがします。
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- 42.サドル溝加工を終えました。サドル作製工程へ移りましょう。
フレットすりあわせ
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- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 9.プロテクタ類を外しましょう。
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- 10.ピカピカのフレットになりました。
ブリッジプレート・リペア
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- 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
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- 2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
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- プラグを切り出している様子です
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- 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
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- 4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。
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- 5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
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- 6.切り出し終えたプラグたちです。
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- 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
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- 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
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- 10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
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- 11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
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- 12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。
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- 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
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- 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
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- 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
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- 16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。
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- 17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
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- 18.アクリル板を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
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- 19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
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- 20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。
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- 21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
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- 22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。
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- ブリッジピン穴を空けている様子です
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- 23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
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- 24.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル高を切り出したサドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。