Furch YELLOW OMC-ER
戻る滋賀県にお住まいのA.T.さんからS.Yairi YD-304とFurch YELLOW OMC-ERのリペアご依頼をいただきました。Furch YELLOW OMC-ERはフレット交換を含むトータル・リペアを行いました リペア後のギターを受け取られて、A.T.さんからとても暖かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ 樋口様
昨日、2本とも届きました。ありがとうございました
S.Yairi YD-304は、初めてアルバイトをして購入したギターで、45年ほどになります
リペアすればかなり大掛かりになると思い躊躇しましたが、長年連れ添ってきた大事なギターであること。しっかりリペアしておけば、弾けなくなったとき誰かに譲れば、その先も大事に使ってもらえると考え、今回リペアをお願いしました
早速弾いてみました。本来のポテンシャルはこれだったのかと思うくらいよく鳴り、弦1本1本の輪郭がはっきりしていました。特にハイポジションの弾きやすさ、音色の良さに感心しました。これからも大事にしていきたいと思います。樋口さんにリペアしていただき、本当に良かったです。ありがとうございました
Furch Yellow OMc-ERは、勤続ン十年の自分へのボーナスとして、昨年ソロ演奏用に購入したものです。最初からよく鳴っており満足していたのですが、弦周りのバージョンアップをしたくリペアをお願いしました
自分の好きな音色、響きです。雑に弾くとすぐにわかるので、丁寧に弾くいい練習にもなります
今後もギターに負けないようレベルを上げていこうと思います。今後ともよろしくお願いします。
A.T.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
ジャパニーズ・ビンテージの代表格であるギターと、新しい時代のギターの2本をリペアさせていただき、リペア後の試奏では両者の個性的な音色を楽しませていただきました
ネック元起きが顕著だったYD-304はネックリセットを行うことで劇的に弦高低下を図ることができて、「弾きやすい、良い音」のギターに変身できました。また、Furchは弦周りのリペアによってさらに音色の改善が出来たと思っています
リペア後のギターにご満足されて、わたしもとても嬉しい気持ちでいっぱいです
これから先もA.T.さんのギターライフの傍らで元気になったギターが活躍していくことをお祈りしています
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレット交換
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- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
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- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
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- フレットを抜いている様子です
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- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
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- 4.軽くサンディングします。
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- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
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- 6.フィンガーボードをクリーニングします。
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- 7.フレットプレスの準備が整いました。
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- 8.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
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- 9.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
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- 10.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
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- 11.タングニッパでタング部をカットします。
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- 12.タング部処理を終えたフレット端です。
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- 13.第一のフレットプレス・ジグです。
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- 14.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
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- 15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
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- 16.ハンドルを回してフレットをプレスします。
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- 17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
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- 18.2つ目のジグはこのように固定します。
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- 19.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
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- 20.順にプレスを進めていきます。
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- 21.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
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- 22.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
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- フレットプレスの様子です
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- 23.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
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- 24.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
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- 25.カットしたフレット端です。
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- 26.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
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- 27.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
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- 28.1弦側のフレット端も同じように整形します
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- フレット端整形の様子です
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- 29.整形されたフレット端です。
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- 30.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
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- 31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 32.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 37.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 38.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 39.プロテクタ類を外しましょう。
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- 40.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1. オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたいて外します。
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- ナット取り外しの様子です。
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。ナット溝に残った不要物を削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。ナットが溝と直接触れることによってギターの音色の改善が期待できます。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル高を切り出したサドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。
ピックアップ取り付け
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- 1.ピックアップ(L.R.Baggs社製LYRIC)を取り付けます。
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- 2.ブリッジプレートにマイクを取り付けます。
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- 3.さらにサウンドホールにボリューム・コントロールを取り付けます。
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- 4.エンドピンジャックを取り付けました。
ストラップピン取り付け
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- 1.ネックヒール部にストラップピンを取り付けます。
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- 2.マスキングテープで保護した後、ドリルで下穴を空けていきます。
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- 3.ピンを取り付けていきます。
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- 4.取り付け完了です。