YAMAHA LL16
戻る兵庫県にお住まいのY.H.さんからYAMAHA LL16のリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせと弦周りのTUSQ化を行いました。Y.H.さんからは以前にCat'sEyeとAstrius AH-1のリペアご依頼をいただいており、今回で3回目のギターリペアご依頼となります。Y.H.さん、いつもありがとうございます リペア後のギターを受け取られてY.H.さんから、とても温かいメッセージが届きました。
樋口様
本日、リペア後のギターを受け取りました
ワクワクしながら調弦し、弾いてみました
いつもながら樋口さんのリペアはすばらしいです
音量・音質ともに改善され、2ランクアップした全く別物のギターになっていました
低音から高音までスムーズに、きれいに鳴ります
演奏性能も向上し、とても弾きやすくなっていました
ハイポジションでのコードストロークは快感です
ピッチが正確であるため、きれいなハーモニーを奏でてくれます
力強く弾いても音がビビりません
適正な弦高に下げていただいたため、ハンマーリング・オン、プリング・オフともに何のストレスもありません
また、カポタストを使っても6弦がシャープしなくなりました
リペア前はカポの位置を変えるたびに調弦が必要でしたが、リペア後は調弦が不要になりました
これはステージ上ではとてもありがたいです
11月に賛助出演させていただく演奏会は、このギターでステージを楽しみたいと思います
今後の相棒として指が動く限り演奏していきたいと思います
今回も樋口さんにお願いしてよかったです
ありがとうございました。
Y.H.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
今回は比較的軽微なリペアを施させていただきましたが、その効果はY.H.さんの仰るとおり、ギターの潜在能力を最大限に引き出すことができたと思っています
まだ若いギターですので、これから部材が乾燥していくにしたがって、深い音色が際立ってくるのではないかと思います
これからもY.H.さんのギターライフの傍らで、LL16が活躍することをお祈りしています
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレットすりあわせ
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- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 9.プロテクタ類を外しましょう。
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- 10.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたいて外します。
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- ナット取り外しの様子です
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
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- 13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
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- 14.ブリッジピン穴加工を終えました。
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- 15.サドルを取り付けました。
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- 16.完成したブリッジとサドルです。