Ibanez AEWC400-TKS
戻る兵庫県にお住まいのY.M.さんからIbanez AEWC400-TKSとMorris TZM-SPのリペアご依頼をいただきました。Ibanez AEWC400-TKSはフレットすりあわせと弦周りのTUSQ化を行いました。
リペア後のギターをお受け取りにお越しになったY.M.さんから、とても温かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ樋口英之様
ご丁寧なメールをいただきありがとうございます.
帰宅早々ギターを試してみて,今御礼のメールを作成しようとして樋口様のメールを拝見した次第です
Ibanez/AEWC400-TKS はとても弾きやすくなっています
1年前の購入時は押弦しにくく,「何じゃこれ」と落胆していたのですが,今は所有しているエレアコ,サイレントギターの中で最も弾きやすいと感じます
購入後1年間リペアを待っていて正解でした
Morris Tornado TZM-SP 704094の気になっていた打痕もきれいになっていてとても満足しています
音の響きも2本ともすばらしいと思います(高額ギターを弾いたことがないのでえらそうなことは言えませんが)
「いつかは高額ギターを」と思っていましたが,もうこの2本で十分です.一生ものにさせていただきます
(蒼々たる高級ギターのリペアの中に加えていただき恐縮です)
搬入・引き取りに関しても,車で20分足らずの距離に工房があるという幸運にも恵まれました
ありがとうございました。
Y.M.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
両ギターとも比較的軽微なリペアメニューを施させていただきましたが、その効果が大きく現れて演奏性も音響特性も向上することが出来ました
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとてもうれしい気持ちでいっぱいです
本来の潜在能力を取り戻したギターたちと一緒に、素晴らしいギターライフをお送りください
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
フレットすりあわせ
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- 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
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- 2.ボディもアクリル板でカバーしました。
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- 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
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- 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
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- 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
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- 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
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- 7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
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- 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。
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- 9.プロテクタ類を外しましょう。
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- 10.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
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- 1.オリジナルナットです。
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- 2.当て木を当ててコンとたたいて外します。
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- ナット取り外しの様子です
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- 3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
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- 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。
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- 5.クリーニング完了したナット溝です。
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- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
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- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
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- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
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- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
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- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
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- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
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- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
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- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
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- 14.ナット上部を切り取りました。
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- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
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- 16.ナットらしくなってきました。
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- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
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- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
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- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
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- 20.弦高調整前のナットです。
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- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
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- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
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- 23.ナット高調整前の弦溝です。
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- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
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- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
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- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
ピッチ調整~サドル作製
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- 1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
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- 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
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- 3.サドル山位置を書き写していきます。
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- 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
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- 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
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- 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
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- 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
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- 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
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- 9.サドル高の切り出しを終えました。
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- 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
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- 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
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- 12.完成したブリッジとサドルです。