Ovation 1612
戻る岡山県にお住まいのN.G.さんからOvation 1612とS.Yairi
YD-306のリペアご依頼をいただきました。Ovation 1612はフレット交換を含むトータル・リペアを行いました。
リペア後のギターを受け取られて、N.G.さんから温かいメッセージが届きました。
ギター工房オデッセイ 樋口 様
お世話になります。
Ovation 1612無事に受け取りました。
素人の私には音の違いは判らないと思っていましたが、ちゃんと分かりました。
感覚的なものですが、音も弾きやすさも良くなっているのはハッキリ分かりました。
リペアによって思い入れの強いギターを安心して、しっかり弾けるようにして頂いたことに感謝いたします。
ありがとうございます。
引き続きYD-306の方も、よろしくお願い致します。
N.G.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
今回はフレットとナット交換を行わせていただきましたが、仰るとおり、適正な弦高で音響特性も向上することが出来ました。
引き続きS.Yairi YD-306もリペアを進めさせていただきます。
完了まで今しばらくお待ちいただけますよう、お願いいたします。
フレット交換
-
- 1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
-
- 2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。
-
- フレットを抜いている様子です。
- フレットを抜いている様子です。
-
- 3.フィンガーボードの平面性を確認します。
-
- 4.軽くサンディングします。
-
- 5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
-
- 6.フィンガーボードをクリーニングします。
-
- 7.フレットプレスの準備が整いました。
-
- 8.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。
-
- 9.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
-
- 10.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
-
- 11.第一のフレットプレス・ジグです。
-
- 12.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
-
- 13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
-
- 14.ハンドルを回してフレットをプレスします。
-
- 15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
-
- 16.2つ目のジグはこのように固定します。
-
- 17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
-
- 18.順にプレスを進めていきます。
-
- 19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
-
- 20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。
-
- フレットプレスの様子です。
- フレットプレスの様子です。
-
- 21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
-
- 22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
-
- 23.カットしたフレット端です。
-
- 24.カットしたフレット片は失わないように一カ所にまとめておきます。
-
- 25.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
-
- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します。
- 26.1弦側のフレット端も同じように整形します。
-
- フレット端整形の様子です。
- フレット端整形の様子です。
-
- 27.整形されたフレット端です。
-
- 28.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
-
- 29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
-
- 30.ボディもアクリル板でカバーしました。
-
- 31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
-
- 32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。
-
- 33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
-
- 34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。
-
- 35.さらにスチールウールで研磨を進めます。
-
- 36.最後はコンパウンドで磨き上げます。
-
- 37.プロテクタ類を外しましょう。
-
- 38.ピカピカのフレットになりました。
ナット交換
-
- 1. オリジナルナットです。
-
- 2.当て木を当ててコンとたたいて外します。
-
- ナット取り外しの様子です。
-
- 3. ナットを取り外したナット溝です。
-
- 4.ナット溝のクリーニングを行います。ナット溝に残った不要物を削り取っていきます。
-
- 5.クリーニング完了したナット溝です。ナットが溝と直接触れることによってギターの音色の改善が期待できます。
-
- 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
-
- 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
-
- 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
-
- 9.1弦側からもナットの密着を確認します。
-
- 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。
-
- 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
-
- 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。
-
- 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
-
- 14.ナット上部を切り取りました。
-
- 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
-
- 16.ナットらしくなってきました。
-
- 17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
-
- 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
-
- 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
-
- 20.弦高調整前のナットです。
-
- 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
-
- 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
-
- 23.ナット高調整前の弦溝です。
-
- 24.弦高調整後のナット弦溝です。
-
- 25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
-
- 26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。
トップ板クラック・リペア
-
- 1.トップ板です。木目に沿ってクラックが見られます。
-
- 2.1弦側にもクラックが見られます。Ovationギターにはトップ板を左右に広げるテンションがかかる個体が見られます。
-
- 3.クラックは木部には達していませんが、現状よりも広がらないようにボディ内からパッチ材補強を行います。
-
- 4.トップ板の木目と垂直になるパッチ材を切り出します。
-
- 5.パッチ材を接着した後、クランプで固定します。
-
- 6.1弦側もパッチ材を接着しました。
-
- 7.固着した6弦側パッチ材です。
-
- 8.1弦側も固着しました。