Bar Fret Replace
戻る最近のギターではあまり見かけられなくなりましたが、20世紀前半に製作されたギターに装着されているフレットは、横から見ると長方形の形をしています。
バーフレットという名前はこの形から来ています(現在のフレットはこれに対してTフレットと呼ばれています)。
今も昔もフレットがすり減ることには変わりなく、バーフレットを脱着してフレット高を調整する必要があります。
今回はすり減ったバーフレットを、埋木によってフレット高確保するリペアをご紹介します。
(この方法の他に、フレット溝を完全に埋木して新たにTフレットを打ち直す方法もあります)
リペア前の状況確認
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- 1.ネック側からの写真です。1弦側(左)はフレット高がほとんどありません。4~6弦(右側)も0.2mm程度の高さです。
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- 2.弦の影を見てみると1、2弦のフレット高がほとんどないことがわかります。
バーフレット取り外し
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- 1.はんだごてでフレットを暖めます。指版を痛めないように気をつけて行います。
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- 2.フレットが暖かくなった頃を見計らって(指で触ると少し厚い程度)フレットを徐々に引き上げていきます。ここでも指版に注意を払います。
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- 3. ゆっくり!ゆっくり!ここまで来ると神経は指版へ集中します。
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- 4.反対のアングルからの写真です。指版にはあらかじめオレンジオイルなどを塗って保湿させておくと作業がスムーズに進みます。
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- 5.抜くコツは、ネックを固定させた上で、真上に徐々に
- 5.抜くコツは、ネックを固定させた上で、真上に徐々に
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- 6.そして、指版には負担を与えないように、熱的にも素早く
- 6.そして、指版には負担を与えないように、熱的にも素早く
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- 7.フレットが抜けるきるまで、集中力をキープさせます。
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- 8.抜いたフレットは再利用しますので、ネック側にマークを入れた上で、フレット立てに待避しておきます。
フレット溝用 埋木と木粉の準備
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- 1.ローズウッド材をフレット溝(=約1.2mm)に合わせて薄切りにしていきます。
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- 2.奥にあるのはアルミの角材で、材料をこのガイドにスライドさせながら薄切りします。
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- 3.切り取った埋木片はこんな感じです。
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- 4.少々多めですが、スライス作業を終わります。
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- 5.スライスした埋木片はさらに短冊状に切って行きます。小さくなった埋木片を実際に埋めていきます。
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- 6.次に、同じくローズウッド材をヤスリでこすって粉を作ります。埋木接着する際に接着剤を着色するために使用します。
埋木作業 ~ フレット打ち込み
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- 1.フレット溝のクリーニングを最初に行います。使っているのは特殊な形状の彫刻刀です。
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- 2.上で作った短冊状の埋木片を幅1.2mmのフレット溝に埋めていきます。
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- 3.埋めている途中です。埋木片の中から同じ高さのものを選びながら埋木作業を進めていきます。
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- 4.爪楊枝の先にスポイトからボンドを少量出します。
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- 5.そして埋木の上から一滴ずつ流し込んでいきます
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- 6.待避させておいたフレットを埋木の上に置きます。順番と向きを間違えないように注意します。
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- 7.指版を傷つけないようにそっと固定します。
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- 8.木槌で最初は軽く、全体が溝に入ったのを確認して、最後まで打ち込みます。
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- 9.打ち込むとボンドがあふれ出てきますので、きれいにふき取っておきます。
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- 10.全フレットの埋木・打ち込み作業が終了しました。
- 10.全フレットの埋木・打ち込み作業が終了しました。
フレットすりあわせ
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- 1.フレットすりあわせ作業はバーフレットでもTフレットでも基本的に同じです。
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- 2.フレットの山の部分だけを残して、マスキングテープで保護します。
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- 3.フレット山の高さをそろえます。Tフレットに比べて高さがばらついていますので、少しずつ時間をかけて行います。
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- 4.特に谷の部分(背の低いフレット)に注意しながら、直定規を基準にすりあわせていきます。
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- 5.フレットサイドも専用の治具でファイリングします。
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- 6.フレットに丸い山を作ります。こちらも専用のヤスリです。
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- 7.サンドペーパーでファイリングした後、研磨たわし(#800)でさらに研磨していきます。
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- 8.コンパウンドで磨き、光沢を出していきます。
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- 9.ボディプロテクタとマスキングテープをはがします。わくわくする瞬間です(笑)
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- 10.フレットの高さ、形状も問題なくリペアできました。
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- 11.6弦側の埋木です。ほとんど目立たなく施せています。
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- 12.1弦側は埋木の量が多く必要でした。その分、フレットが上に上がっています。