odyssey
ギター工房オデッセイ
Odyssey Guitar Craft

Martin 2-17

戻る

神奈川県にお住まいのG.I.さんからMartin O-18KとMartin 2-17のリペアご依頼をいただきました。両ギターとも1920年代製造のギターで、おそらく同一人物による改造が施された形跡が見られ、リペア前はとても悲惨な状況でした。1924年製Martin 2-17はボディの損傷が大きかったため、トップ板脱着、ネックリセット、ブリッジ交換などを含むトータルリペアを行いました。 リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

おはようございます。樋口さま
昨日、無事にギター受け取りました 第一印象、素晴らしいマホガニーの光沢です。何とも味わい深い色です
このギターも、O-18Kを最初に手に入れ、その時てっきり2-17だと思い込んだ事に端を発しました(笑)
自分の中で2-17を調べていくうちに、当時のmartinの一番の出荷台数を誇り、また大衆向けのギターだった事も分かりました また、O-18Kしかり2-17も現在のmartinのカタログから遠く忘れられた存在になって、その事は自分の中に遠い昔、大恐慌が来る前の穏やかなアメリカの時代を想像させてくれました そんな時にO-18Kが2-17と分かったと同時くらいにまたもやボロボロのこのギターと出会う事になり、勝手に運命めいた感情が芽生えたのです(笑)
そして、樋口さんにまたもや一枚のボロボロになった写真を送って、相談したところ二つ返事で快く引き受けて頂きました。感謝です
昨日、2-17を弾いてみたところ、O-18Kとは全く違う個性のギターでオールマホガニー独特の枯れているのにとても暖かく優しい音でした 小さいボディなのに決して音量が足りない事はなく、とても満足するものです。爪弾いてもストロークしてもどの弦も綺麗に鳴っていて感動ものです
今回のリペアも樋口さんにはご苦労かけたことは状況をみれば明らかですね。ネックを抜いたときブレイシングが一斉に外れたとお聞きしそしてトップ板まで外す事になって流石に不安になりました。サイド板のクラックはガムテープの補修(泣)いやはやなんともですね
しかしながら、今回も樋口さんが瀕死のギターを復活させて頂きました。1924年製大正生まれのおばあちゃんです。たぶん、ギネスに載るくらい長生きすることでしょう(笑)
O-18K、2-17共大変な状況からここまで直して頂いて感謝しかありません まだ、他のギターたちもありますので折を見て相談させてください(どれもこんなにひどくありませんからご安心ください(笑))
大変長い時間を割いて頂きまして、あらためて感謝です ありがとうございました
お身体ご自愛して頂き、いつまでもお元気でいてください。

G.I.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました
今回、1920年代のギターを2本リペア、リストアさせていただきながら、彼ら(ギター達)がどれだけの人々に、どんな風に弾かれ、どのような人生を見て私の元に来たのだろうか、というこれらギターの歴史(というかギターの人生といった方がふさわしいかもしれません)を想像しながら、触れ合ってきました
修復後のギター達は私の想像を遙かに超える、素晴らしい音色を奏でてくれるようになり、わずか半年弱でしたが、2本のギターと過ごすのが本当に楽しい毎日でした このような貴重な機会を与えてくださったことに心から感謝しております
トップ板脱着が必要と判断したとき、G.I.さんにご相談させていただいた次第なのですが、その時、「基本的に樋口さんに下駄を預けますので、どうぞ徹底的に直してあげてください」という心強いお返事を頂戴できて、思う存分ギターと向き合うことができました
私がこの世を去った後も、今回リペアしたギター達は大切に弾かれ続けるのかと思うと、リペアマン冥利に尽き、胸が熱くなります
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました 重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ギターの状態確認

ネックリセット

ブリッジ交換(新規作製)

ボディリペア

ブリッジプレート・リペア

フレット交換(バーフレット)

ナット交換

ピッチ調整~サドル作製